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外注してはならないもの

十年一昔というが、ネットビジネスでは五年前でも大昔だ。私自身もこんな思い出がある。

ちょうど5年前の7月ごろだったろうか。大垣共立銀行と日本IBMが共催で名古屋市内でフォーラムを開催していた。テーマは、「インターネットを中小企業経営に活かす」というようなものだったと記憶している。

記念講演の講師の一人として、楽天の三木谷社長が来ていた。恥ずかしながら私は、ほとんど彼を知らなかった。楽天もこのときが設立三年目程度で、一ヶ月ほど前に株式店頭登録したばかりのヨチヨチ歩きの企業だったはずだ。

「へぇ、この人がネットで成功している人なんだ。カッコイイ人だなぁ。37才ということは9才年下なのかぁ。」などというのが第一印象。
講演はウマイともヘタとも印象がない。ただ、ひと言だけ今でも脳裏にこびりついて離れないことを話された。

それは「中核になる技術は外注してはならない。楽天のショッピングサイトを作る上で基本設計の部分は、社長の自分と副社長とが会社設立時に学生を家庭教師に雇ってプログラミングから勉強した」という話だった。

このひと言が私を変えた。

思いを自分に馳せてみたのだ。「経営コンサルタントもネット対応しなければならない」と思い、私はこの二年前の1998年にホームページをアルバイトに作らせていた。出来あがった当時はうれしかったが、細かいところで気に入らない。ちょっとしたことを変更したくても、アルバイトは「ええ!!、また直すのですか」というような顔をする。
私も無知だから、自分がものすごくワガママなことを言っているのか、それともアルバイトが単なる面倒くさがり屋なのか、それすらわからない。やがてアルバイトにすべてを任せてしまい、自分は滅多に見ない自社サイトが完成した。当然アクセスは先細りで、「ネットってこんな程度か」と見限っていた時だったのだ。

そんなタイミングの時に、三木谷さんから「一回10万円払ってアルバイトからプログラミングを学んだ」という話しを聞かされてはたまらない。さっそく心の中で決心した。

「自分でホームページを作り、自分で更新できるようになろう」

幸い翌週はアポイントが少なかった。講演会とフォーラムが終了した瞬間に私はタクシーを拾い、パソコンショップに向かった。ホームページ制作ソフトを買いにだ。それが今の自社サイトの始まりであり、メルマガへとつながっていく。

「中核になる技術は外注しない」という言葉。

これを社外への外注に限定せず、社員も含めて外注しないと考えることにミソがある。本当に大切なものは社長みずから学べ、ということだと思う。今のあなたにも「中核になる技術」となるものがいくつかあるはずだ。それをさがしてみよう。