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すごいヤツを入れよ

なかなか売上げが伸びないとか、利益が増えない、自分の収入が増えない、社員数が増えないとなげく社長の多くは、実はそれを心底望んでいないことが多い。
ホンネでは、次のような精神構造になっているのかもしれない。

・売上げが伸びる=忙しくなり、自由時間が減る=好ましくない
・利益が増える=忙しくなって税金も増える=うれしくない
・自分の収入が増える=ぜいたくして遊ぶ自分がいる=現状維持で良い
・社員数が増える=部下管理の仕事が増える=わずらわしい

こうした殻をぶち破り、次のステージに行くためにはどうしたら良いだろうか。

もしそうしたご相談を受けたならば、私は「あえてリスクを背負いこむように」と提案するだろう。3月31日号でルビコン川を渡るカエサルのお話しをしたが、後ろの橋を焼き払って前進するような生き方が経営の中でも定期的に必要だと思う。

個人的な体験だが、かつて私はフルコミッションセールスの仕事をしていた頃がある。
32才になる年の2月にサラリーマンをやめて脱サラ。脱サラとはいっても、コミッションセールスの仕事なのだが、私にとって初のセールスで固定給はゼロ。かつて自分が何かを売ったという経験は店頭販売でしかない。しかも、仕事場所の名古屋は私にとって未知の街。この地には友人も親戚も誰もいない。土地勘もまったくない。
さらにはこの月、結納式を済ませた。仕事から、家庭、住まいにいたるまですべてが未知の世界なのだ。一分一秒がゾクゾクするほどスリリングだった覚えがある。

最悪の事態を考えた。セールスがうまく行かず、収入が入ってこないという事態だ。そうなると、6月に予定されている結婚にも影響が出る。だが、私は「まず必要なのは、最小限の収入確保だ。仮にセールスの仕事でうまくいかなくても家族を養う覚悟はある。そのためには、コンビニや工事現場でアルバイトしても構わない。幸いまだ若くて、身体も元気なのだから」と自分を落ち着かせた。

必死にもがいているうちに、混乱のなかにも秩序が出はじめた。セールスの実績にはまだまだ満足できないものの、何とかやってゆけるメドがたってきたのだ。
やがて、売上げも収入も忙しさも充実感もすべてにおいて、ほどほどの所の心地よさで落ち着いてしまった。

この小市民的満足感を打破したくて脱サラしたのに、以前のサラリーマン時代よりちょっとだけ上程度の生活で安定し始めてしまった。
この状態を破るためにとった行動、それがリクルーティングだった。

リクルーティングとは、同じ会社にセールスマンを勧誘することだ。
これは組織にとってはものすごく重要な活動なのだが、セールスマン個人にとっては、ライバルを増やす・同業他社を増やすようなものだ。
必要だとわかっていてもそれをやらない人が多い。

だがあえて私は一年目ながらリクルーティングに力を入れた。自分のセールス実績がおぼつかない段階で、「この仕事をあなたもやりませんか?」と誘うのだ。ネットワーク販売ではないので、一円の特にもならない仕事なのだが、私はやった。

私にとって第一号、第二号、第三号のリクルーティングは、友人だったが、第四号はお客さんだった。しかも東証一部上場企業で出世街道まっしぐらの40代半ばの田中さんだった。

その当時のことを田中さんは次のように語っている。

・・・
名古屋に転勤となって仕事をしていた時、サクセス名古屋という、聞いたことのない会社の、武沢さん、というセールスマンから、アプローチがありました。前もって送られてきた資料に、興味もあって、勧められるままに、SMIプログラムを購入しました。
その頃、毎日仕事に追われ、一見充実した日々のようであって、心の中では、何か空しいものがあり、このままの延長線上の、人生でいいのかなぁと、考えたりしている時期だったので、この流れを、少しでも変える、きっかけになるなら、と思ったのです。
 それから武沢さんは、よく会社へ来ました。目的は見込み客の紹介と、リクルートの依頼でした。リクルートに関して云えば、SMIビジネスは、こういう仕事で、コミッションは、これくらいで、と説明し、能力は十分あるのに、組織の中で、それを発揮し切れないままでいる人おられるでしょう。そんな人を是非紹介して下さい。そして最後にいつも “SMIは人に喜んでもらえる、本当にいい仕事ですよ!” と言って帰るのです。
 組織の中で働いていると、特に人間関係のことで、週のうち何回かは腹の立つことに遭遇します。そしてその都度、武沢さんの “SMIはいい仕事ですよ!” というのが思い出されるのです。 

(田中さんのメルマガ「サクセスガイドポスト」より)

・・・
以下、詳しくはこちらをご参照願いたい http://www.e-comon.co.jp/sgp/ 

結局、田中さんは入社した。そして私を越えるセールス実績をあげ続け、「Mr.勤務習慣」と仲間から畏敬の念でみられるほど、寝ても覚めても彼は仕事をした。彼の入社が起爆剤となって我々の販売会社は大躍進をとげ、2~3年後、私は世界ナンバー2の代理店の副社長として、セールマネジャー世界大賞を受賞した。この賞は、世界の同組織で働く何万人に一人しかもらえない栄誉なのだが、それはひとえに田中さんをリクルートしたことから始まっているのだ。

“すごいヤツを入れる”ということが、あなたのビジネスの起爆剤となり、ルビコン川を渡らせてくれることになる場合が少なくない。

考えてみよう。