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アビエイター

とてつもなく大きなスケールの四つの夢

1.世界一の大富豪になる
2.世界一の映画人になる
3.世界一のプロゴルファーになる
4.世界一の航空家になる

このうち、1と2をほぼ実現し、4もあと一歩のところまで肉薄した男、それがハワードヒューズだ。(1905年~1976年)

油田採掘用ドリルの発明で巨万の富を得た父と、過保護な母親に溺愛されて裕福な幼年期を過ごしたヒューズ。18歳の時に両親を亡くし、孤独になったヒューズだが、同時に90万ドル近い遺産が転がり込んできた。現在の為替相場でほぼ一億円だが、1920年代での一億円なので、百倍も千倍も価値がある金額だ。

その資金を元手に1925年(20才)、子供の頃の夢だった映画製作者になるためハリウッドにやってくる。
先週公開された映画『アビエイター』(レオナルド・デュカプリオ主演)は、このあたりから物語が始まる。

87機もの現物の戦闘機を購入し、本物のフライトシーンを撮影した映画を制作するが、3人のスタント・パイロットが死亡し、ヒューズ本人もスタント飛行中の事故で大怪我を負うなど、莫大な制作費と年月がかかり、完成した映画はヒットしたものの、制作費を回収することは出来なかった。

1935年には、熱狂的な飛行機好きが高じてとうとうヒューズ航空機制作会社を設立。自ら開発したH-1飛行機で陸上機のスピード世界記録を更新。1932年にはリンドバーグが設立した航空会社TWAを買収。1939年には当時誰もが無謀だと考えていた大陸横断の旅客飛行に挑み、ワシントン-ロサンゼルス間の飛行に成功して大きな成功を収めた。 

その後も、映画、航空機産業、ハリウッド大物女優との浮き名、ラスベガス全ホテル客室の20%を買い占めるなど公私にわたって大活躍したハワードヒューズだが、1944年頃(39才)から細菌を恐れるようになり、ホテル内でほとんどの時間を誰も入室させず、一人裸で椅子に座って過ごし、排尿もガラス瓶で済ませて室内に並べるなど、異常だったという。乗用車には当時めずらしい空気清浄機を取り付け、ラスベガスでは不眠時に映画を見るためにテレビ局を買収して、自分用に映画を放映させていたという。

そうしたあこがれのヒーローと、異常なまでに潔癖を好む奇人の両面をデュカプリオが好演している。
私は高校二年生になる長女と一緒に映画を見てきたが、デュカプリオの最高作だと私は思う。ハワードヒューズの良くも悪くも異常な奇人ぶりについては、『ハワードヒューズキコーキ物語』に詳しくある。
ちなにみこの本は、映画館で売っていたので求めたが、なかなか良くできていると思う。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4871496465/