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残念と手抜き

全国各地を講演や非凡会などで回っていると、老若男女いろいろな人たちと出会えるのが最高に楽しみだ。

最近お目にかかった方だけでも、

・100名近い社員を率いるうら若き美人ベンチャー社長
・86才で、いまだに複数の特許技術開発に熱中し、夢を語る製造業社
・運送業を倒産させたが、人望あつく、友人たちから出資を集めて地域タクシー会社社長になった青年
・地域密着型経営者支援サービス業をたちあげて、着々と地元で影響力を強めている会計事務所
 
など、お一人ひとりをメルマガ題材に取り上げたいほどだ。

その反面で、「この人残念だなぁ」とガッカリしてしまう人がいる。
反面教師として今日はそんな彼らの特徴を研究してみたい。

・某日、某所にて。
講演会が終了し、懇親会場へ移動しようとしていたとき、名刺交換にあらわれた男性社長がこう言った。

「武沢さん、懇親会に出られないので名刺交換をお願いします。今日は講演ありがとうございました。社員が百人以下の経営者には今日のようなお話しで良いのでしょうが、当社くらいになると、もっと組織を動かす要諦のようなお話しを聞きたかった。そのあたりが話題に出なかったのが残念でした」

私はなんとも返事が出来ない。演題にそってレジメを用意し、それに添うお話しをし尽くした。
この男性社長の会社では、百名を越える社員が働いているというが、そんなのたいした問題ではない。
この人の一番の問題は、得られるものに関心を集中し、それ以外のものを無視できる学習姿勢の有無だ。あるものを見ないで、ないものを見ようとする批評家的学習姿勢ではうまくいかないのが経営者だ。

・1+1がなぜ2になるのかを知ろうとする人は哲学者
・1+1が2になることを知って満足するのが学生
・1+1が2になることを応用して何かに活かすのが経営者

だと思う。名刺交換しながら「残念でした」と帰って行くようでは、かえって会社名に悪印象を与えてしまうことに気づかないのだろうか。

もう一人、某日、某所にて。
講演会のあとの懇親パーティの席で私の横へ来て、しばし雑談。そこまでは良かったが、立ち去り際に「ところで武沢さん、最近のメルマガ、手を抜いてませんか?」という。
最初は意味がのみこめず、「私がですか?」と聞きかえした。彼は、「いえ、気のせいなら良いのですが」とうっすら笑顔を見せている。
「最近ボリュームが少ないですね」とか「やや引用が多くなってますね」とか言われるなら思い当たることもある。

だが断じて申し上げるが、ただの一度も手を抜いてメルマガ「がんばれ社長!」を作ったことはない。いつも全力のつもりだ。
準備が不足したり、時間が足りないというときはある。推敲が不十分なときもあれば、コンディションがベストでないということだってある。だが、意識の問題として手抜きなど考えたこともないし、もっとも嫌いな言葉が「手抜き」だ。

酒席の場とはいえ、初対面の人間に「手抜きしてません?」などと大の大人が発すべきではない。もし本当に彼がそう思っているのなら、だまってメルマガ購読を解除すれば良いと思う。