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経営者としての成長

経営コンサルタントを仕事にしている人が、「すっげぇ」と顧客に言われるようでは二流だろう。
「すっげぇ」のはコンサルタント本人ではなく、それを実行し結果を出した会社の方なのだ。コンサルタントは、自らが賞賛を浴びる快感に酔わないでおこう。

経営者はどうか。個人事業主やそれに近い企業なら話は別だが、経営者本人が顧客や周囲の経営者仲間から賞賛を浴びるようではどこかがおかしい。すばらしいのは、スタッフやマネジメントチームが提供する製品・サービスであり、その結果成し遂げられた業績がすばらしいのだ。

成果は自分の指導力のおかげだと思ってはならない。たしかにトップの指導力が最高の要因であることは誰だって知っている。だが、密かにそれを自負する程度で良く、大っぴらには「お客やスタッフやマネジメントチームのおかげ」で通すべきだし、そう信じるべきだろう。

会社とともに、経営者も成長していかなければならない。人間的にも能力的にも成長していくことを義務づけられたオイシイ立場にあるのが企業経営者だ。
それは次のような三段階を経ることになるだろう。

1.起業したての頃、または会社を引き継いで間もないころ

・経済的には、経営陣も社員も満足いく月収を確保しつつ、会社もキャッシュフローがプラスになる仕組み作り
・人間的には、ハードワーキングと率先垂範によるリーダーシップが求められる。

2.組織的な経営を行ない始めたころ

・経済的には、他人を雇用しつつ月間粗利益が一人あたり百万円をはじき出す仕組みづくり。(生産性)
 安全性の目安として自己資本比率などの財務目標も掲げる。
・人間的には、「社長すごい」と社員に言わせるスーパーマンぶりと理念や哲学の確立

3.会社を公器と考え、自律的な成長路線に乗せていくとき

・経済的には、収益性・成長性・安全性の三点からもっとも合理的な経営ができる方法を日夜模索し、
・人間的には、経営のプロを社内人材中心に編成し、特定の誰かがスゴイというよりは、仕組みや規律がスゴイという状態を作る

ということではなかろうか。

別の角度から考えよう。

ドラッカーは、「ネクスト・ソサエティ」(ダイヤモンド社)の中で“起業家が陥りやすいワナ”として次の四つをあげている。

1.成功の拒否
2.利益志向
3.マネジメントチームの欠如
4.自らの役割の喪失

明日はこの四つについて、考えてみよう。

関連バックナンバー2002年10月29日号
http://www.e-comon.co.jp/magazine_show.php?magid=299

<明日につづく>