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イチローと手塚治虫

メジャー年間安打記録を84年ぶりに更新した日、快挙を遂げたイチロー選手は記者会見でこう述べた。

「僕はメジャーの中でも小柄な方です。それでもこのような記録が作れた。自分で限界を作らなければ、いろんなことが可能なんだということを日本だけでなく、アメリカの子供たちにも伝えたかった。」

偉大なプレイヤーは、自分のあとを継いでくれるような偉大な後継者が表れることを本能的に望むようだ。

あまり知られていないが、手塚治虫や石ノ森章太郎、藤子・F・不二雄など“偉大な”漫画家たちは、それぞれが漫画家になるための本やマンガの上達法などの本を書いている。
これらの本を読んでいると、彼らがいかにマンガを愛し、後進たちに期待しているかが充分すぎるほど伝わってきて、感動すら覚えるのだ。

では手塚治虫氏の「マンガの描き方―似顔絵から長編まで」(知恵の森文庫)の内容の一端をご紹介したい。amazonの書評からピックアップしてお届けしよう。

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この本で、著者が想定している主な読者は「今まで描いたこともなかった人」。落書きから始めればいい。紙と鉛筆さえあればいい。手塚は、繰り返しそう言う。そして、「省略、誇張、変形」という基本的な考え方やそれに基づく絵の描き方、実際にアイデアを「ひねり出す」ための「問題集」、など具体的なテクニックを惜しげもなく披露し、漫画の世界への扉をいっぱいに開いてみせる。例えば、「いろいろな顔をつくろう」と題した見開きページ。まゆげ、目、鼻、口の4つのパーツがそれぞれ8つのバリエーションで右ページに描かれ、左ページにはそれぞれを組み合わせて32パターンの顔の例を並べていく。これなら描けるかも…と著者の思惑通りについ手近な紙に落書きしたくなってくるような楽しさ、わかりやすさである。 

一方で、読み飛ばしてもかまわない、と前置きしつつ本格的な技法や印刷などの専門的な知識、そしてプロを目指す人や新人漫画家への厳しいメッセージも幾度も顔を出している。後半になるにつれその傾向は強くなり、手塚ファン、漫画ファンには読み応えのある記述が並ぶ。
「(アイデアを生む苦しさについて)ぼくだってこうなのだから、みなさんだって労力や努力を惜しんではいけない」。「ぼくの漫画から、戦後の長編漫画が確立されたと、気の弱いぼくだけど、これだけはそう信じている」。漫画の「神様」であった手塚の、漫画界を引っ張る者としての自信と責任感、後輩たちを育てることへの熱い思いに溢れている本。
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いかがだろう。マンガ家志望でなくとも読みたくなるような内容ではないだろうか。

「マンガの描き方―似顔絵から長編まで」(手塚治虫著 知恵の森文庫) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334722636/ 


他にも、石ノ森氏や藤子氏らも異口同音に言っていることは、まずは、らくがきやいたずら書き、似顔絵などから始めろということだ。
そして、そのらくがきの類は捨てるのではなく、らくがき帳のようなもので保存しておけ、とも教えている。
その理由は、進歩の様子がわかることや、過去に書いたものが思わぬヒントになるからだという。

書けば書くほど上手になる。楽しんでやればやるほど良い。

実はこの指導法、手前ミソながら、経営理念やビジョンを決めるときに私が経営者におすすめしている方法と偶然にも一緒なのだ。
まずは構えずに、気楽に書き始めること。あとは、やり続けることが大切なのだ。

内面にある何かを表に向かって上手に表現するためには、ある程度の技法が必要になる。マンガ家にはマンガの技法が、メルマガには文章の技法が、経営者には理念やビジョンを表現する技法が必要だ。
いずれの場合でも、らくがき感覚で数をこなしていくことが大切。この段階では、誰にも見せる必要はない。気楽に楽しくやることだ。

蛇足ながら、

イチロー選手も手塚治虫氏も、後進から見てあこがれの存在でありたい、という責任感を自分のモティベーションにしている点で共通しているのかもしれない。



<秋田稲美さんの本>

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・・当選者・・ 
1.前田さん(兵庫)
2.頼金さん(大阪)
3.小山さん(秋田)

『上司になったら覚える魔法のことば』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4806120669/