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会社を倒産させやすい社長の 10箇条

昨日号では、年間の倒産件数(約 1万件)よりも廃業・休業・解散件数の方が多い(約 3万件)ことをお伝えした。倒産件数はここ四年ほど減り続けているが、廃業・休業・解散は増え続けている。体力をなくした中小企業が追いこまれている実情をあらわしているといえよう。

その理由は、
1位 販売不振 (70.7%)
2位 既往のしわ寄せ(10.9%)
3位 その他(7.8%)
4位 連鎖倒産(5.9%)
5位 放漫経営(4.7%)
であることも昨日のメルマガで書いた。

昨日のメルマガ→ https://e-comon.jp/post-8231/

今日は、どんな社長が会社を倒産させたり、廃業や解散に追いこまれるのかを考えてみたい。まず、「会社をつぶす社長」でネット検索してみると、いくつかのブログ記事がヒットした。たとえば、こちらのブログでは「会社をつぶすダメ社長 15の行動」が網羅されていて参考になる。

★ダメ社長 15の行動
http://matome.naver.jp/odai/2135063555830043001

また、10年以上前にお弁当の「玉子屋」さんの企業理念をご紹介したことがある。同社では、経営理念が「事業に失敗するこつ」12箇条なのだ。それがこの 12項目である。

01. 旧来の方法が一番良いと信じていること。
02. もちはもち屋だとうぬぼれていること。
03. ひまがないといって本を読まぬこと。
04. どうにかなると考えていること。
05. 稼ぐに追いつく貧乏なしとむやみやたらと骨を折ること。
06. 良いものはだまっていても売れると安心していること。
07. 高い給料は出せないといって人を安く使うこと。
08. 支払いは延ばす方が得だとなるべく支払わぬ工夫をすること。
09. 機械は高いと云って人を使うこと。
10. お客は我がまま過ぎると考えること。
11. 商売人は人情は禁物だと考えること。
12. そんなことは出来ないと改善せぬこと。

★玉子屋経営理念 → http://www.tamagoya.co.jp/company/index.html

かつて私は名古屋のある実力企業の経営方針をご紹介したこともある。それは次の 10箇条だった。

1.新会社を設立するにあたっては、資本金と同額の預り金を集めるべし!
2.新会社の創業メンバーには、管理に明るい人材を加えるべし!
3.ものは何処よりも安く買い、人は何処よりも高く買うべし!
4.幹部の登用は、その人格の高さと遵法精神を重んずべし!
5.社員はまず、年収の半分の貯蓄をすべし!
6.日銭商売にあっては、借金は避けるべし!
7.2期連続して赤字の部門・店舗は、潔く失敗を認め、撤収すべし!
8.事業の拡張計画は、人材の成長スピードを最優先に考慮すべし!
9.ブームには乗るなかれ!
10.時には社運をかけた挑戦を行い、社内に緊張をもたらすべし!

このような明確な基準を前もって決めておき、それを金科玉条のごとく尊び、守ることによって先達の知恵を今に活かすことにもなる。

これらのことを土台に、私の主観も交えて「会社を倒産させやすい社長の 10箇条」を整理してみる。

1.いつまでも孤軍奮闘している社長
幹部や部下を育て、経営陣に加えることができないと、社長の体力や意欲の低下とともに会社がじり貧になっていく。
最初から一代限りのビジネスと割りきっているのならそれも悪くないが、そうでないなら、若手幹部を採用、育成していこう。
2.勉強しない・させない社長
本やセミナーなどで勉強しない社長は、志が低くなる。その結果、大きな目的や目標を掲げることができず、自分も周囲も鼓舞できなくなりがちである。社員教育に時間や費用をかけない社長は、社員の経験不足、スキル不足、意欲不足に直面し、困り果てるようになる。計画的に教育をほどこし、時には大胆な人事異動を行って経験知を高めることなども、将来、かならずプラスになる。
3.時間にルーズな社長
夜寝る時間、朝起きる時間、会社に出る時間、仕事中の時間管理、仕事を終える時間など、どの程度自分の意思を反映させているか。流されるように時間を使っている社長は、結局、できごとや状況に流されてしまうことになる。
4.大らかすぎる社長
「細かいことは良い」とお殿様のように大らかな社長。借金の金利にルーズになり、在庫の増加、買掛金の増加、人件費の増加など、良からぬシグナルが出ているのにデンと構えて動かない。自分が細かいことを言いたくない場合は、それを誰かに言わせるなり、皆でそれに気づく仕組みを作るなりの方策が必要なのに、それもしない。それは「大らか」とは言わず、「大雑把」という。
5.貯金をしない社長
会社でも個人でも貯金をしてイザというときに備える。日頃からそれを習性にしておく。来月(来年)はもっと儲かるから、今ある金は将来のために全部使ってしまえ、という社長は、いずれ資金難に遭遇することになる。
6.経営計画を作らない社長
業績作りだけを経営と考えている社長に経営計画は不要である。しかし、経営とは永続的に事業を存続発展させる活動である。中長期の視点がなければ、それはできない。中長期の視点をもって今期以降の経営課題を考えるうえで、経営計画書づくりは社長に不可避の仕事といえる。
7.オールインを平気でくり返す社長
ギャンブルで有り金のすべてを賭けることをオールインというが、それに近いことを経営で行う社長。起業して間もないころはそうした冒険も必要だが、徐々にそれをなくしていこう。単品経営にこだわるのもある種のオールインと言える。
8.弱点を放置する社長
数字に弱い、販売に弱い、管理に弱い、など誰でも弱点はある。それを認めたうえで、弱さを克服する取り組みが必要だし、誰かに代わってもらうことで弱みを無力化することも大切なことだ。それをしない社長は、会社が傾いたまま前へ進もうとさせているようなものである。
9.営業現場、製造現場に行かない社長
事件は現場で起きているという映画のセリフにあるとおり、会社の問題は現場で起きている。社長室と会議室が自分の職場だと思い込み、会社の現場で陣頭指揮をとれなくなった社長は、経営のかじ取りを誤りやすくなる。
10.空白

10番目はあえて空けておいたので、あなた独自のものをそこに記入しよう。