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非常灯の下で

「太陽日本語学院」が中国の珠海市でサービスを開始した。

中国人学生82名を集め、珠海電視大学の校舎を借りてのスタートだ。この日本語学校は、「がんばれ社長!」にもたびたびご登場願っている太陽商事有限公司(香港)の筒井社長が理事長をつとめるもの。

学生の多くが月給1万円程度の中国人労働者だという。この学校は、24時間体制で指導する寄宿舎方式をとっているとはいえ、年間20万円程度の授業料になる。したがって、学生にとっては給料の20ヶ月分に相当する授業料だ。日本でいえば、数百万円~1,000万円程度にあたる金額を自らに投資してまで日本語を学び、キャリアアップに役立てようとする学生の意欲は並々ならぬものがある。

そういえば、上海で日本語を教えているA先生からお聞きした、こんなエピソードを思い出した。中国人学生の意欲の高さを知るうえで興味深い話だ。

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A先生が上海に赴任して間もないある日。夜おそくなって消灯の時刻を過ぎたころ、廊下がドンドンとうるさい。不審に思って様子を見に行くと、学生たちが廊下を踏みならすことで非常灯を点灯させ、その明かりの下で教科書を読んでいた、というのだ。
(中国では建物に振動があると非常灯が点る設計のところが多い)
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そうしてまで学んでいく学生たちは、正味8ヶ月もすれば日本人と会話をしてもまったく遜色がないレベルにまで語学が成長するという。

さもありなん。

さて、「太陽日本語学院」では語学だけでなく、日本の文化や歴史、日本人の考え方などを教育していく。卒業生の大半が日本企業で働くつもりであり、彼らが即戦力として通用する教育を施す。

この語学学校事業では利益を見込んでいない、と筒井社長。

「私は香港を拠点にして20年間にわたって商社を経営してきた。香港と中国本土の経済成長というタイミングにも恵まれた。また、人にも恵まれた。そのおかげで自分の事業が発展し、必要なお金やある程度の財産も築くことができた。あとは、中国と日本に恩返しがしたいという気持ちでこの学校を始めた。虎は死して皮を残すが、私は財産や事業ではなく人を残したいとこの年(60才)になって思い始めた」

もうひとつこんなエピソードもある。

京都の大学で学ぶ久貝君(実名)の夢は「中国で成功すること」。ある日、中国ビジネスのセミナーに出席したところ、講師として日本を訪れていた筒井社長と出会う。久貝君は、「この機会を逃しては明日は来ない」とばかり、懇親会で筒井社長のそばを離れず、助言を求め続けた。そのあまりにも熱心な姿に筒井社長は感動。「参っちゃうくらい集中して追いかけてくる。この若者を何とか応援したいと純粋に思った」筒井社長は、キーマン何人かに久貝君を引き合わせた。すると、ラスベガスの旅行会社・ネバダ観光の桜井社長が、「1~2年鍛えて差し上げたい」と名乗りでてくれた。なぜなら、桜井社長は、中国進出を検討していたからだ。今、久貝君は米国のワーキングビザを申請中である。今度は、桜井社長が彼に“参っている”という。

一点の目標に集中して迷わない若者に対し、世間は放ってはおかない。

太陽商事 http://www.jcdirect21.net/