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社長がやめる日

国内に300万社の法人がある。同じ数の社長がいるわけだが、当然その中には風変わりな人がいる。

愛知県一宮市で刺繍加工の特許をもつL社。ここの経営者のライフスタイルがユニークだ。
兄・弟と社長が代替わりしてきたが、この兄弟、いずれも48才で社長を退任したのだ。

あらかじめ、「社長の定年は48才」と内外に公約しそれを守った。48才以降は一年間ほど国外で退職金をもとに悠々自適の時間を過ごし、50才目前にして帰国。またゼロから会社を立ち上げているのだ。

その理由を弟のA社長はこう語る。

「武沢さん、一つの会社を経営するだけでは、狎れや慢心が出てきてけじめがつかなくなるでしょ。社長を退く時を公表しておいたほうが、後継者も育つし、自分も任期のなかでやるべきことに集中できる。」

またゼロから会社を起こすことについてこう語る。

「家でも二~三回立て直して初めて納得できる住まいが作れるように、会社経営でも同じだと思う。一つの会社経営で学習したことをもとにして、またゼロからビジネスモデルや組織づくりをしたいのだよ。今は中国の大連にパートナー工場をもって、L社の時とは別の事業スタイルで楽しくやってますよ」とイキイキ語る。

たしかに一理あって面白いではないか。

また、サッカーのイエローカード、レッドカードのように、次のような基準を設けている飲食チェーンの社長がいる。

「二期連続赤字決算を出した時点で私のゲームオーバー。経営の才能がなかったと判断すべきだ。社長の椅子にしがみつかず、さっさと若手にバトンタッチする。本当は、四半期決算で二回連続の赤字でもそうすべきだと思っているのだが、まだそこまで宣言する勇気がなくて情けない」と語るのはW社長(55才、神奈川県)。

こうした期限や基準を定めておくことはきっと有効に違いない。だが、この問題、答えはひとつではない。あなたが判断し、決めるべきことなのだが、「一度も考えたことがない」というのでは心もとない。

社長みずからが緊張感をもって会社経営にあたるうえで、こうしたやり方があるということをご紹介したまでだ。

さて、あなたは次の質問にどう答えるだろうか。

・今の会社の社長をいつまでやるのか決めていますか?
・今の会社の社長を退任する基準を決めていますか?
・それらを決めておくべきだと思いますか?それとも決めるべきではないと思いますか?
・それはなぜですか?

あなたがどう回答するか私も知りたい。きっとあなたもこの調査結果に関心がおありだろう。近々、このテーマで「がんばれ社長!」読者アンケートを実施してみたいがいかが。