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類は友を・・

先日ある所で、「三人の石工」という話しをした。これは、『現代の経営』(ドラッカー著)に出てくる挿話で、次のような内容だ。

ある建築現場で、何をしているかを聞かれた三人の石工のうち、一人めの男は「これで食べている」と答えた。二人めは手を休めずに「腕のいい石工の仕事をしている」と答えた。三人めは目を輝かせて「国で一番の教会を建てている」と答えた。

この三人の石工は、仕事をする目的がはっきり異なる。最初の石工は給料であり、二人目は職務そのものであり、三人目は価値あるものへの貢献が目的である。出来れば、経営者は三番目の石工を目指しましょうというような話しをして差し上げたところ、ある製造会社の社長から予期せぬ質問が返ってきた。

「武沢さん、私は仕事を一生懸命やってもらいさえすればそれで良いと思っている。従業員が心のなかでどんな目的をもっていても、それは私のあずかり知らぬ問題で、良い仕事をしているかどうかだけが私の関心事といえる。それで間違っていますか?」

私は「間違ってはいませんが、」とお答えしたあとで、
「まず、社長であるあなたはどれなのですか?」と尋ねた。すると、
「私ですか、う~ん・・・。時と場合によりますね。」

ビックリした私は、「時と場合によってあなたの目的が変わるのですか?」と質問を投げ返し、こう続けた。

石工が三種類あるならば、企業にも三種類の目的があるはずだ。最初の石工のような社長が経営すると、その会社の目的は、

「みんなで儲けてみんなで分け合おうぜ」という組織になる。

二人目の石工のような社長が経営する会社は、「みんなで技術を高めて納得のいく仕事をしようぜ」となる。

三人目の石工のような社長のもとでは、「みんなで世の中に貢献しようぜ」となる。

どれであっても経営に間違いはない。大切なことは、“類は友を呼ぶ”である。類とは異なる友を呼んでしまうと、お互いが不幸になりかねないのだ。

経営者は、「何のために仕事をしているのか?」という質問を自らに問いかけ、自ら回答することだ。そして同じ質問を、幹部や社員にもしていこう。

あくまで私の想像だが、経営者でも社員でも二番目の石工タイプが一番多いように思う。

さて、あなたは何番?