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狂夫

狂にいたるにはどうすれば良いか。それには常識的な考えを拒否し、狂を愛し、自ら狂夫たろうとすることである。

「もし近寄れば、刺す」

娼婦にすりよられて若き松陰(当時22才)は、そう言い放った。一切、女性を性的対象とは見なかった吉田松陰の存念はこうだ。以下は、『世に棲む日日』(司馬遼太郎著 文春文庫)より引用。

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要するに人間には精気というものがある。人それぞれに精気の量はきまっている。松陰によればよろしくこの精気なるものは抑圧すべきである。抑圧すればやがて溢出する力が大きく、ついに人間、狂にいたる。松陰は、この狂を愛し、みずから狂夫たろうとしていた。それが、おのれの欲望を解放することによって固有の気が衰え、ついに惰(だ)になり、物事を常識で考える人間になってしまう。自分は本来愚鈍である。しかしながら非常の人になりたい、非常の人とは、狂夫である。何人(なんびと)でも狂夫になり得ると思う。欲望さえおさえれば、だが。
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この松陰の思想は、孟子からきている。孟子は松陰にとって、終生の道しるべであり、その影響を受けて17才のとき松陰は「寡欲論」という小論文を自分の戒めとして書きあらわしている。

さて、娼婦をしりぞけた松陰の自戒を聞かされた友人の江幡五郎は、「念のために聞くが、君は我らを軽蔑するか」と尋ねた。

旅中において何度か娼婦をふしどにまねきよせ、松陰を廊下に寝かせた経験があるからだ。それに対し、松陰はあわててそれを否定し、赤面しつつこう答えている。

「私の自戒は私だけのものだ。両兄はそれでいいのだ。両兄には、本来英雄の素地があるようにおもうが、この寅次郎はただの人間で、ただの人間というのは、みずからを教えたり戒めたりしてゆかねばならない」

それにしても、「もし近寄れば、刺す」とは何たること。私なら、どうするだろうか、と思うと恥ずかしくなる。

「狂」と「禁欲」とは同義語に近いものかもしれない。欲望のおもむくままに物を買い、飲食し、異性と関係をもち、興味本位であらゆる仕事に手を染めしていると、「禁欲」とは無縁の生き方になる。やがては、精気とともに才能をも溢出させ、「狂」から遠ざかっていく。

天与の才能だけを頼りにし、一切の自己啓発努力もなしに成功するような人生はないはずだ。もしあれば、それは麻雀のテンホーみたいに最初から役ができあがっているようなものでつまらない。(うれしには違いないが)

人生の成功は、後天的な自己の啓発の成功に他ならない。三年前、私はベンジャミン・フランクリンの「13徳」について述べた。印刷工から身をおこし、実業界で立身出世。科学者、出版業者、哲学者、経済学者、政治家、そしてさまざまな啓蒙活動を通してアメリカ資本主義の原点を作った人物だ。独立宣言書の起草者でもある。その彼が25才のころ、借金を背負って印刷会社を経営しつつ子供が誕生。いままで以上に、自分が精進しなければならない、と発奮して13徳を樹立し、生涯これを自己チェックした。

今日は、それをご紹介して筆をおく。

第一 節制・・・飽くほど食うなかれ、酔うほど飲むなかれ。

第二 沈黙・・・自他に益なきことを語るなかれ、駄弁を弄するなかれ。

第三 規律・・・物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。

第四 決断・・・なすべきことをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。

第五 節約・・・自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち浪費するなかれ。

第六 勤勉・・・時間を空費することなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて絶つべし。

第七 誠実・・・いつわりを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出すこともまた然るべし。

第八 正義・・・他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。

第九 中庸・・・極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。

第十 清潔・・・身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。

第十一 平静・・・小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。

第十二 純潔・・・性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これに耽りて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他に平安ないし信用を傷つけるがご         ときこと、あるべからず。

第十三 謙譲・・・イエスおよびソクラテスに見習うべし

「がんばれ社長!」の中国展開について

中国ビジネスに関するこれからの目標や予定を質問されることが多くなりましたが、実際のところ、そんなに緻密なプランがある訳ではないのです。

中国と私に関する既成事実としては、

・常州市政府サイト「創新ネット」に私のメルマガが翻訳紹介される
・11月下旬より、「がんばれ社長!中国語版」を毎週発行する
・10月より上海浦東地区にオフィスを構え、いつでも使用可能な体制にある
・青島で「非凡会」がスタートした
・11月に常州市の副市長を招いて名古屋でビジネスチャンスセミナーを行う
・筒井社長、貴美島社長など中国で何十年にわたりビジネスしてこられた方との交友を始めさせていただいた

以上がすべてです。たったそれだけを拠り所にして何とかしようと思っています。メルマガ配信を通して中国の経営者と接する機会を多く作り、その後はセミナー事業になるのか、出版か、それともその他か。大航海時代の船乗りのように、先行きになにが待っているのか予測不能なプロジェクトが一個くらいある方が、楽しいじゃありませんか。

無料!中国ビジネスチャンスセミナー in 名古屋 参加者募集中

日時:2003年11月15日(土) 午後3時~5時40分
午後6時15分から8時 交流会
会場名:名古屋市ナディアパーク セミナールーム1
参加費用:無料(二次会は5千円)政府スタッフも参加
主催:中国江蘇省 常州市政府
協賛:有限会社がんばれ社長
・ナディアパーク
http://www.u-net.city.nagoya.jp/convention/kaijyo/designho.html

内容:
・「中国でのビジネス環境と常州市の対応」・・常州市副市長
・「中小企業の中国進出にともなう課題と対応」・・・
常州市科学技術局 副局長
・「中国ビジネス歴20年、私が体験した中国と今後の見通し」
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対象:中国でのビジネスに興味がある経営者やそれに準ずる人うっすらと関心をもって情報集めしたいと思っている人
申し込み:info@e-comon.co.jp まで二次会参加の有無もお知らせ下さい。
補足・・・政府要人とコンタクトを作っておくことは、中国ビジネスを検討するうえでとても大切なことです。これだけ身近でこうした方々と接する機会は滅     多にありません。ふるってご参加ください。日本語大丈夫の優しいスタッフが二人も。ご安心ください。