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ゴリヤク

製品やサービスを世の中に送り出し、市場からの反応をダイレクトに受け取るということをくり返すのが経営だ。買い手は個人であれ、法人であれ人であることに変わりはない。人が買うか買わないのかを判断する。

なぜ売れるのか、なぜ売れないのか理由があるはずだ。理由もなく売れ続ける商品やサービスはない。消費者が欲しいと思う理由を考えてみよう。

消費者の三大ニーズについては過去に何度かご紹介してきた。

ディスカウントニーズ(安い)
コンビニエンスニーズ(便利)
スペシャリティニーズ(他にない)

ひと言でいえば、「ゴリヤク」があれば買う。企業の競争とは、消費者に対する「ゴリヤク」の提供合戦と言ってもよい。

この「ゴリヤク」を、更に掘り下げていくと幾つかのキーワードが見つかる。

得する
楽しい
おもしろい
おいしい
便利
落ち着く
感動する
興奮する
燃える
ためになる
自慢できる
ステータスを味わえる  ・・・etc

昨日ご紹介した岐阜の会社は、オイルライターストラップで消費者にどんな「ゴリヤク」を提供しようとしているのだろうか?
仮に「おもしろさ」を提供しようとするならば、それなりの製品開発と売り方がある。「ステータス」を売り物にする場合もまた然り。

私的な話題になるが、ひとつの事例。

「がんばれ社長!」を本にしようと思った私は今年の1月、友人に出版社を紹介してもらうことにした。この段階では、私も単なる思いつき程度で、「本になればいいなぁ」という程度の願望にすぎない。出版社の担当者もバックナンバーをチェックし、メールにて「うちでやらせて下さい」という返事をくれたものの、その後互いに没交渉。

何人かの知人は、「本にしてくれたら買いますよ」と言ってくれたが、本が売れるかどうかは分からない。なにしろこちらは無名の新人だ。

その間、私は「本にする」というアイデアをあたため続けた。ノートには、本のコンセプトから構成レイアウト、出版社の候補先から装丁のデザインなど、思いつくたびに書き加えていった。そして3月に入って二人の友人にアイデアをうち明けてみた。

するとA氏は、「そんなの売れるわけないじゃないですか。ネットでバックナンバーが無料で見られるものを、いったい誰がお金出して買うんですか?売れっこありません!」と言う。もう少し優しく言ってくれれば良いのに。

一方のB氏は、「売れるでしょうね。マガジンではテーマが毎回バラバラだけど、本にするならひとつの流れで読めますからね」と言う。

どちらも一理あるが、A氏のように現実を厳しく考えるべきだろう。メルマガをそのまま本にしただけでは売れない、とこの時判断した。しばし保留案件となり、お蔵入りしかかった。だが、ちょうどその頃、東京の友人から自費出版のアイデアを聞く。

そこで私のアイデアノートは第二ステージへと進化する。

どんな本なら読んでみたいか
読者はどんな「ゴリヤク」を得るのか
売り方は
価格は
買わない理由はなにか
買わない理由を消すにはどうすべきか

を書き出していった。すると3月頃のアイデアノートの企画とはまるで別の構想になっていった。出版社経由では売らない。価格は半分以下。必要販売部数も半分以下。内容は半分が変更になった。一番変化したのは、私自身だ。「売れたらいいなあ、でも売れるかな?」という揺れ惑う気持ちから「これは売れる!制作が追いつくかな?」という確信へと変わっていった。

私の話はこれくらいにして、明日に続く。