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人間性は武器にならない

●最近お会いする経営者は皆さん真面目で誠実だ。もうちょっと毒気がほしいと思えるほど謙虚で勉強熱心なのだ。

「あなたの会社の一番の問題は、経営者であるあなた自身の真面目さや誠実さにあります。」と私に言われたら、あなたはどう思うだろうか? 実は、その可能性、なきにしもあらず、なのだ。

●先日、「がんばれ社長!の経営体質チェックシート」というものを作ってみた。さっそく、先週それを使ってみた。名古屋の「経営指針研究会」にお集まり願った30名の経営者にチェックシートで採点していただいたのだ。

●内容は、次の6分野であり、それぞれについて5項目ずつ質問があ
るので、全部で30の質問に回答することになる。

1.経営者の人間性
2.マーケティング力
3.組織力
4.計画経営力
5.企業文化
6.成果と効率

●全員の点数を集計してみたところ意外な結果が出た。まずは、ちょっとお考えいただきたいのだが、あなたの会社では上記6項目中、何が一番強くて何が一番弱いとお思いだろうか?

名古屋のこのグループの場合、点数の高い順に次のようになった。

一位:経営者の人間性
二位:組織力
三位:マーケティング力
四位:企業文化
五位:成果と効率
六位:計画経営力

●経営者個人の人間性(真面目さや一生懸命さ、努力ぶりなど)については皆さん、比較的高い自己評価をしている。このような研究会活動に参加されること自体がそれを証明しているのかも知れない。

ちなみに、「経営者の人間性」は次の5つの質問からなっている。

1.あなたは、部下から尊敬できるような人格や人間的魅力をもっているか
2.あなたは、社内の誰よりも仕事熱心で長時間働いているか
3.あなたは、わが業界のこと以外にも積極的に知識や情報を求め、我社を大局的な目で見るように努力しているか
4.あなたは、金銭管理や部下管理、同族の扱いなどで公私混同がないか
5.あなたの話はわかりやすく簡潔か

以上の項目が高得点だった。

●次に、最も自己評価が低かったのは、「業績」ではなく、何と「計画経営力」だった。そこには次の質問が並んでいる。

1.成文化された経営方針書があり、それを全員に伝えているか
2.経費の使い方は、あらかじめ決めた予算をもとにしているか
3.経営陣は、毎月の月次決算書を読み、それをもとに今後の対応を考えているか
4.年次・月次・週次での目標設定書式があり、それを部下に書かせているか
5.計画と実績は定期的に見直し、問題があればすぐに対策を打てるような会議やミーティングがあるか

以上が最も低い点数だった。

●この出来事から私の仮説。

中小企業の経営者はリーダーシップのとり方に関して錯覚と誤解をしている可能性がある。リーダーシップは、リーダーの人間性が基本ではあるものの、人間性だけで企業をリードできるわけではない。計画経営を推し進めるためには、今まで要求していなかったことも要求していかなければならない。

たとえば、

・月間目標とその行動計画の書類提出を求めるのは当然だ
・しかるべき部門に経費の科目別予算と実績を提出させるのも当然だ
・きめ細かい単位で営業の実績把握や対応策を講じるためのミーティングなどを開催して当然だ
・月次決算は経理部門から速やかに出て当然だ
・決算書が読めるのはもちろん、それをもとに経営会議をして当然だ
・経営方針書は年間単位だけでなく、四半期単位であっても当然だ。

●このような当然の要求を組織のなかにリクエストし、それをやらせきるのが経営者だ。部下から見た人間的魅力を大切にしようとするあまり、仕事の要求水準に妥協があってはならない。社員も妥協は望んでいない。いや、むしろ厳しいことを望んでいるはずだ。人間性を武器にしようとするのはやめよう。