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信念の「社員ポイント制度」

深沢社長(仮名)の会社では 3年前に「社員ポイント制度」を導入した。社員に期待する行為を一覧表にし、それぞれについてポイントを付与する。原則は一回1ポイントがもらえて、ポイントは一点につき 300円。100ポイント貯まった時点で 3万円分の図書券がもらえる。

期待する行為は次のようなものが並んでいる。
・社員旅行(全社旅行、部署旅行とも)
・懇親会(全社規模、部署規模とも)
・親睦会(ボーリング大会、カラオケ大会)
・指定図書の感想文(月に一冊まで、140文字以上)
・外部研修の受講(要レポート提出)
・社内講座の受講(要レポート提出)
・托鉢(公園清掃、駅清掃、近隣清掃など)
・親孝行(誕生日、父の日母の日、記念日など 写真添える)
・選挙(国政選挙、地方選挙に投票する、投票所にて写真)

などなど、全部で 20項目以上あり、内容によっては 2ポイント、3ポイントもらえるものもある。

「社員の反応はどうですか?」と深沢社長に聞いてみた。
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最初は社員も遠慮があってかポイントを取得してくれませんでした。そこで、私自身がせっせとポイントを取得し、商品券をゲットするようにしました。たとえば「テレビ学習」というポイントもあるのですが、『ガイヤの夜明け』や『カンブリア宮殿』など一部のビジネス番組を見てレポートを 200文字ほど書くと 1ポイント( 300円 )もらえる。私はテレビを見ながらその場でノートパソコンでレポートを作成し、翌朝にはそれを提出してポイント一覧表にバラの花をもらうようにした。そうやってムードを盛り上げていったら徐々に広まっていきました。
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「なかには、反対や反発をする人がいませんでしたか?」・・・当社は 15人程度の小さなオフィスですが、実はどうしても一人だけ理解してくれない女性がいました。「ポイントなんかもらわなくても私は本を読んでいます」とか「親孝行や駅前掃除をポイントで釣ってやらせるなんてナンセンスです」とか言って、制度そのものに否定的でした。最初は自分が間違っているのかなと思って悩んだりしたのですが、とにかく一定の成果をみるまではとことんやってみようと決めました。だから彼女がポイントを取得するかしないかは自由ですが、制度そのものを批判させるのは許しませんでした。結局、一年後に彼女は会社を辞めてしまいましたが、それを境に、いまでは全員がこの制度に前向きに取り組んでくれています。こうしたものに反発する人は会社の方針や目標にも反発することが多いものだと思います。
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いかなる施策にせよ、社長の信念や覚悟がどれだけのものか社員が確かめている時期があるのだと思う。

今日は短いが以上。