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O 社長の経営計画

中部地方で介護サービスを提供する O 社の O 社長と初めてお目にかかったのは平成 22年夏のことである。「がんばれ!社長」が主催する講座に参加され、経営計画書を作った。O 社長と私は同年で、その当時 56歳だった。

以前から「10億企業を作ってみたい」という願望はあったそうだが具体的でなかったし、その実現計画を作ったこともなかった。当時の O 社の年商は 2.5億円、経常利益は 1,000万円に満たなかった。

武沢から、「いつかの 10億よりまずは 5年後の 5億でいかがですか」と言われ、逆算してみたら年率 15%成長を続ければ 5年後に 5億になることがわかった。

「その程度ならやれそうだ」と O 社長は思った。当の本人が「やれそうだ」と思えることが大切で、その予感は的中する。講座の最終回で O 社長は他の受講生の前で 5年後に 5億企業になります、と宣言したが 3年でそれを実現できそうな勢いだ。

●昨日、名古屋の本気講座で久しぶりにお会いしたので近況を伺って
みた。

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5年間で売上を 5億にするつもりでがんばってきましたが、3年目の今年、すでに 5億寸前のところまで来ました。経営計画を作って一番良かったことは、業績を上げることへの気持ちが固まったことと、そのために優秀な人材(総務部長)を採用できたことです。私の考えを理解してくれて、それを現場のスタッフに落とし込んでくれたり、私に直言してくれる人間性豊かな人材に出会うことができました。内部をきっちり管理するだけで利益が残るようになりました。そうした人材を採用する決断が出来たのは経営計画があったからで、もし計画がなかったら決断はできなかったかもしれません。
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経営計画を作ってそれを発表する。その計画に感銘してくれるスタッフがいて、「社長、やりましょう!」と決意を露わにしてくれる幹部や社員がいれば社長冥利に尽きる。しかし、優秀な総務部長に出会う前の O 社はそうではなかった。3年前に初めて経営計画を発表したときは、憤りにちかい失望を感じたことがあるそうだ。

初めて社員に発表したときは、製本した経営計画書ではなくサマリーと言われる概要書で説明したので、資料は紙一枚である。まだ何も説明していない段階で、社員のひとりがこう言った。

「社長、方針って、たったこれだけですか?」

温厚な O 社長もそのときだけは・・・。

<つづく>