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心配のおすそ分け

※『 2020 東京オリンピック&パラリンピック』開催決定、おめでとうございます。汚染水問題で東京危うし、と報じられていただけに一回目の投票で東京の表示が消えたときは落選かと思ってしまいました。史上まれに見る激戦といわれた今回の招致合戦、最後の決め手は最終プレゼンテーションだったかもしれません。「お・も・て・な・し」は、流行語大賞になりそうな気がします。

では、さっそく今日のメルマガに入りますが、テーマは「お・も・て・な・し」ではなく、「お・す・そ・わ・け」で行こうと思います。

会社のことを誰よりも心配するのが社長なので、社長が心配をなくそうとしてもそれは無理だろう。社長から心配はなくならない、と覚悟すべきである。ただし、心配の度合いや、心配の仕方については各人各様なので、もし今より上手な心配法がみつかればそれを採用したほうがうまくいく。それは社長の心身のためでもあるし、会社のためにもなるはずだ。

まず社長のお困りごと上位ベスト5を勝手に選んでみた。

1.資金繰り不安
2.業績不安
3.社員不安(人間関係、採用、教育、労務、人事、賃金など)
4.顧客不安(顧客との良好な関係づくり、顧客の新規開拓など)
5.事業承継と後継者不安(後継者の人選、育成、親子の関係、必要によってはM&Aなど)

このベスト5はあくまで一例なので、あなたのベスト5(またはベスト3でもよい)を紙に書いてみよう。

あなたのお困りごとランキングを紙に書いたら、次に、その項目の横に、誰が何パーセントそれについて困っているかを書こう。例として次のようになる。

1.資金繰り不安 社長(85%)、経理部長(15%)
2.業績不安   社長(70%)、営業部長(10%)、経理部長、(10%)、営業社員(10%)
3.社員教育 社長(60%)、人事部長(20%)、営業部長(20%)

合計で 100%になるようにする。もし社長ひとりで心配していて、ほかの誰も心配していなかったら「社長(100)」と書くわけだ。

さて、上の例の場合、二つの問題がみえてくる。

ひとつは、すべての項目の一位が社長になっていることである。しかもすべての比率が 60%以上と過半数を社長が担っている。二つめの問題は、社員がほとんど何も心配していない。心配させていないわけだ。

そこで、今日の提案。管理職か社員に責任を「お・す・そ・わ・け」しよう。社長が一位に居座るのをやめて大胆に心配のおすそわけをするのだ。そうすると、次のようになる。

1.資金繰り不安 経理部長(50%)、営業部長(30%)、営業社員(15%)、社長(5%)
2.業績不安  営業部長(50%)、営業社員(30%)、社長(20%)
3.社員教育 人事部長(50%)、社員(30%)、営業部長(10%)、社長(10%)

その結果、社長の心配負担率は
1.資金繰り  85%→5% (1位から4位に)
2.業績    70%→20%(1位から3位に)
3.社員教育  60%→10%(1位から4位に)

と心配がかなり軽くなる。

社長は心配比率の高い人のフォローに回ることができる。もちろん、最終責任者は社長なので、「あとはよろしく」とばかり資金や業績の責任を押しつけることはできない。最初は一緒にそれを心配してあげよう。心配の仕方や対処の仕方を教えてあげて、それを乗り越えたときは一緒に喜んであげよう。その結果、経営者感覚を身につけた人材が各セクションで生まれてくる。それが後継者対策にもなるし、人材育成にもなるのだ。

『TCP』(Top of Concern Person、トップ・オブ・コンサーン・パースン、一番心配する人)と任命してもよい。

「お・も・て・な・し」はうれしいが、心配の「お・す・そ・わ・け」なんか要らないという声が聞こえそうだが、現実問題としてこれを上手にやっている会社がある。

明日はその実例をご紹介したいと思う。