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続・マスタリー

昨日の「がんばれ社長!」では、『達人のサイエンス』の一節からマスタリー(達人)の道に横たわる13の落とし穴について触れた。それは、

1.生活上の葛藤
2.せっかち(結果を急ぐ)
3.よくない指導を受ける
4.競争のない状態
5.過度の競争
6.怠惰
7.けが
8.薬物
9.賞やメダル
10.虚栄心
11.くそまじめ
12.一貫性がない
13.完全主義

の13項目であった。

その中からとくに思い入れが深いものとして、「2.せっかち」と、「6.怠惰」と「12.一貫性がない」について考えてみたい。

「2.せっかち」

人も組織も、段階を追って成長してゆく。一足飛びに進歩成長することはあり得ないことを私たちは忘れてはならない。もう一度申し上げる。段階を追って成長してゆくものなんだ、ではなく、段階を追って成長してゆく“必要がある”のだ。

人や組織に促成栽培は通用しない。

もちろん学習と進歩に要する時間は個人差があり、例外的に人の何倍もの成長スピードをもつ天才がいることは認める。だが、多くの場合、私たちの進歩・成長には一定の時間が“必要”なのだ。

とりわけ、それが反復を要することがらであれば、なお更時間を費やす覚悟が必要となる。

例えば、

・何かの技能を修得すること
・何かの行動習慣を変えること
・意識変革を必要とすること

などは、いずれも反復が大切であって、その成果を急ぎするとかえって危険だ。なぜならば、せっかちの反動ともいえる「不信とあきらめ」に直結するからである。

私たちは何かの結果・成果を得るためだけに今の道にいるのではない。今の道を歩むことそのものに意味があり、さらには、毎日上達しようと挑むことに価値があるのだ。せっかちになるような目標・計画は百害あって一利なし、なのである。

次に、「6.怠惰」だ。

個人的なことながら、何を隠そう、私の本質は相当に怠惰な人間だ。放置すれば一週間でも二週間でも仕事をせずに自宅でだらけていられる。そのことは、私の家人がいつでも証言してくれるだろう。それは、「勤勉」の反動として突如訪れる。

怠惰とは何か。

それは、勤勉であることを放置し、なまけ、ものぐさ、だらける行為を言う。積極的に遊ぶわけでもなく、ただ漫然と働くことや努力することを放棄し、漂う行為だ。

この「怠惰」というものをマネジメントすることができれば、私の場合、相当な成功ができると信じていた。48年間生きてきて、この怠惰という本質はいまだに消えないが、うまく付き合う方法があることを知った。それが何と、マスタリーへの道を歩むことだったのである。

今思えば、私にとって人生の一大転機が訪れたのは一昨年の夏だ。それは、日刊のメールマガジン「がんばれ社長!今日のポイント」を発行することを選択した瞬間に訪れた。

そのときは、そんな大それた気分などなかった。単にホームページのアクセスが集まるためであれば、何でもやる、その一つにメールマガジンがあったに過ぎない。ネタが尽きればいつでもやめようという安易な気持ちもかなりあった。

ところが予期した以上に読者数が増え、読者の方々と交流を重ねるにつれ、メールマガジンの日刊配信そのものが私にとって「マスタリーへの道」であることに気づき始めた。

するとどうだろう、「怠惰」であることが物理的に許されなくなった。

マスタリーへの道を阻害するものが「怠惰」なのではなく、マスタリーへの道を歩むことによって「怠惰」から抜け出すことが出来そうなのである。

これは何たる逆説か!