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リーダーの原点

今年9月24日、スワローズが負け、マジックがゼロとなって巨人のペナント優勝が決まった。だがその瞬間、巨人ベンチには誰ひとり笑顔がない。
「勝って胴上げするんだ」との思いが原監督以下、全員にあったのだろう。
だが目の前の敵は“闘将”星野仙一に率いられた阪神タイガースだ。オレ達の本拠地・甲子園で、勝って優勝させるようなマネだけはさせない、という男の意地がそこにある。

勝って喜びを爆発させたい、という気持ちと、そうはさせない、という意地の張り合いで、とうとう延長12回、サヨナラ試合という幕切れで終止符を打った。
http://www.yomiuri.co.jp/hochi/baseball/sep/o20020924_10.htm
史上、サヨナラ負けを喫して優勝したチームは存在しない。つまり初の快挙を原巨人は成し遂げたともいえる。

プロ野球選手という“歴戦の強者たち”も、ひとりのリーダーの戦う姿勢の強さで、あれほどまでに変わる。ふだんと変わらない野球の試合なのに、魔性の緊張感がうまれるのはリーダーの戦う意思からだ。

「星野仙一の闘争心あふれるあの顔、あれってリーダーの原点だなぁ」
などと感心しながら、私はビールを飲んでいた。

それから二週間たった。

30才前後だろうか。その若者は、白いワイシャツを袖まくりし、サンドイッチを口いっぱいほおばった。真剣なまなざしで書類に目を通す。ときどき自分のノートに何かを写しとっているようだ。怒っているのではないか、と思わせるほどに眉は真剣だ。
出勤前のスターバックス。

「あの大盛りのアイスコーヒーはいつ飲むのだろうか?」人ごとながら気になる。
今朝そんな彼を見たとき、私は星野監督を思い出した。

何かに向かって戦う姿こそ仕事の原点ではないか。社長のリーダーシップとは、こうした戦う姿勢を部下に見せることではいのか、と。

真剣に仕事をしている姿って格好いいはずだ。

書類を作る、読む、電話をする、お客さんと話す、会議で話す、笑う、怒る、・・・etc.

リーダーとしてあなたは、そうした光景を部下に見せているだろうか。パーテーションで遮断されていたり、個室があるなどして、物理的に部下から見られない場所にいないだろうか。もしそうならば、時には身をさらしだす工夫をしてみよう。

どんな所で笑うか、どんな時に怒るか、どんな時に真剣になるか、どのように喜ぶか、そのすべてが見られている。そんな原始的な所からリーダーシップが発揮されていることは、星野監督をみれば明白だろう。

家族との関係でも同じことが言えそうだ。仕事ぶりは、ふつう家族に見られない。
昭和のある時期までは、日本も第一産業・二次産業が中心の社会だった。そんな時代までは、親の仕事ぶりを家族に見せることができなくても、その汗や油や作業着の汚れ具合をみれば、おもわず「仕事、ご苦労様」って言えた。

だが、現代のように第三次産業やホワイトカラー中心社会になると、スポーツクラブへ行けるほどに体力にはゆとりがあり、作業着であるスーツは全然汚れない。

何かに向かって戦う姿勢をいつ、誰に、どのように見せているだろうか。いちど再点検してみよう。