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「うちで働いていることをどう思うか」と社員にアンケートをとった会社の生データ

初投稿:2014年4月2日(水) Rewrite:2014/04/19(土)

ある会社が社員全員に対して NPS の アンケートを行った。

「あなたはわが社で働くことを大切な仲間や家族にどの程度推奨したいと思いますか。10点(最高)から0点(最低)の間で点数を付けてください。その点を付けた最大の理由も書いてください」というもの

この製造会社の社長は、この記事をご覧になり、NPS について興味を持たれたようだ。

パートタイマーを含む従業員34名全員が匿名で回答した結果は次のようになった。

10点…0名
9点…6名
8点…14名
7点…10名
6点…0名
5点…1名
4点…1名
3点…1名
2点…0名
1点…1名
0点…0名

「この結果をどう読めばよいですか?」というご質問をいただいたので私はまず質問を仕返した。

「社長はどう思いますか?」と。するとこんな返事をいただいた。

「7点〜9点に集中しているのは嬉しいことですが、5点以下が4名いることが気になります。ましてや1点なんていう社員がいることに唖然とします。それがホンネなら、よく辞めないものだと…。」

私はこの点数の見方について解説した。
NPS のルールにそのまま従い、10点〜9点を「推奨者」、8点と7点を「中立者」、6点未満を「批判者」とした。
「推奨者」は34名中6名なので17.6%となる。「批判者」は34名中4名なので11.8%となる。17.6から11.8を引いた5.8ポイントという数字がこの会社の NPS となる。

アメリカ企業の統計値などを見るかぎり、この点数は少なくとも20ポイントは欲しい。仮に、この会社が来年20ポイントをめざすのであれば、あと5名の「推奨者」を作れば良いことがわかる。
8点、7点がボリュームゾーンになっており24名いる。その中から5名を9点以上に格上げすれば良いわけだ。簡単そうにみえるが、下がる人もいるので一生懸命に取り組まないと一気の上昇は容易でない。

今度は、「点を上げるためには何をすれば良いですか?」というご質問。

私の回答は、
「アンケートのもうひとつの項目、その点数を付けた最大の理由は?にどのようなコメントがありましたか。そこに問題解決のヒントがあるはずです。よろしければすべて教えてください」

社員のコメントを丹念に読んでいくと、明らかにひとつのキーワードが浮かび上がった。それは、勤務時間の長さである。点が低い人はもちろん、高い人からも時間の長さが指摘されていた。数えてみたら、38%の社員が時間を気にしていた。おそらくこれは社員の総意とみてよい。

そのことを指摘すると、社長は「時短に取り組みます」と返事をくれた。それは大切な課題だが、それだけが唯一の解決策ではない。今やっている仕事が将来の何につながっているのか見えていないから、目先のことにとらわれる傾向もある。
「もし将来ビジョンを語っていないのでしたら、これを機会に夢を語り、今やっている仕事の意味や価値を語ってあげてください。それだけでも何割かは反応が違ってくるはずです」と。

この会社は今年5.8ポイントというスコアを得た。正直言って、良くはないが、悪くもないと思う。マイナス何十点という総批判が出なかっただけマシだとも思う。聞いてみたら、案の定経営計画書を作って毎年発表している会社だそうだ

あなたの会社でも一度トライされてはいかがだろう。

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