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執行役員制の意義

「武沢さん、うちも10月から新年度がはじまるのだが、これを機会にCEOとかCOOとかいうポストを導入したいのだがどう思いますか?」

「ほー、なるほど。その狙いは何ですか?」
「何となく欧米的な臭いがしてカッコイイじゃないですか。」
「カッコいい?それだけの理由ですか・・・。」
「動機づけにもなるかと。」

カッコや動機づけでやるものではない。まず、ちょっとその辺りをおさらいしておこう。

CEO(chief exective officer)・・・最高経営責任者
COO(chief operating officer)・・・最高執行責任者
CFO(chief financial officer)・・・最高財務責任者
CTO(chief technology officer)・・・最高技術責任者

日本の商法では、「代表取締役」が株式会社の最高責任者とみなされており、これらの名称は執行役員制度のなかのポスト名称である。

「なんだ、非公式な名称に過ぎないのか。」などとは思わないでほしい。たしかに日本国内でのビジネスに限定すればまだまだ従来呼称の会長・社長・専務の方がわかりやすい。だが、欧米では1970年ごろからこれらCEO・COOの名称が使われており、海外ビジネスではむしろこちらが一般的と言ってよい。

日本ではソニーが1976年にこの呼称を採用したのが第一号となっており、徐々に国内ビジネスでもこの執行役員名称を使うケースが多くなってきているようだ。だが、それはカッコ良さの問題ではなく、経営戦略上の確固たる意味があるのだ。

最近では

日本マクドナルド
・代表取締役会長兼CEO  藤田 田
・代表取締役社長兼COO 八木 康行

ユニクロ
・代表取締役会長兼CEO 柳井 正
・取締役社長兼COO 玉塚 元一
(11月の株主総会にて承認予定)

などに見られるように、社長を後任者に譲りながら自らは会長兼CEOを勤めるケースが増えている。

以前の「会長」職といえば、現役第一線を引退し、新任社長の後見役というようなイメージがあった。だが、経営を取りまく環境の厳しさは、そうした閑職や名誉職を許すはずがない。上記2社に見られるように、会長職でありながらもCEO(最高経営責任者)にとどまるには、それ相応に強い意思があるものだ。

経営の4大役割である「ビジョン」「戦略」「執行」「戦術」各々について、一人で何役もこなせるほど今の経営環境は甘くない。CEOはビジョンと戦略を、COOは執行と戦術を分担しようという狙いがそこにあるのだ。

冒頭の企業も、そうした戦略の一貫として執行役員制度を採用するのであれば充分な意義があるはずだ。