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異端を求める

Rewrite:2014年4月2日(水)

成功に王道はない。成功したものが後から王道と呼ばれるだけだ。プロレスを日本に持ち込んで成功した力道山も、あのプロレスのスタイルが王道だったわけではない。むしろ本場アメリカから見れば異端だったはずだ。いや、アメリカのプロレスすら、スタート時のカーニバルレスリング(サーカスの演し物としてのレスリング)から大きく変わってきている。
日本では、力道山のあとをジャイアント馬場が継ぎ、やがてあのスタイルがプロレスの王道とか標準と呼ばれるようになっていった。

野心的な猪木や大仁田が後発として成功するためには、王道に対する異端さで勝負するしかなかった。そして彼らはそのようにした。お客の支持を集めれば、それを真似する者が増え、異端もやがて標準と呼ばれるようになる。このようにすべての新しい取り組みはその瞬間においては「異端」である。

部下を育てるときにも同じことがいえる。人材育成はまず仕事での貢献を要求することから始まる。それは何らかの異端さを要求するものでなければならない。

カルロス・ゴーン氏がトップに就任する前、日産自動車を訪れて幹部や社員の何人かに会った。あるとき、当時の塙社長がゴーン氏に尋ねた。

「優秀な人材はいましたか?」

するとゴーン氏は塙氏も知らない名前をあげたという。しかも、「あの人はルノーに行ったら役員として務まる」とも言ったそうだ。そのゴーン氏自身がもし日産の正社員であれば、せいぜい課長程度だというから皮肉なことだ。

異端を求め、異端を評価する目と心を養おう。