未分類

教育目標

教育に関する考え方は国によっても企業によっても異なるようだ。

例えば、日本では2002年より「ゆとり教育」を導入しようとしているが、欧米や中国ではさらに徹底した詰め込み教育と猛勉強の伝統を復活させてきている。
むしろ日本の教育だけが世界の潮流とは逆の「ゆとり」という道に挑むギャンブルを開始するようなものだ。

前のブッシュ政権では、1990年に「国家教育目標」を発表した。そのなかで、各年度を終了する段階で、英語、数学、科学、歴史などの科目の学力証明のためのテストを行い、さらに2000年までに米国の科学・数学の学力達成度を世界一にするという目標を掲げている。
この方針はクリントン政権でも徹底して強化され、試験重視、家庭学習重視で米国の教育を立て直した。

英国も同様だ。1988年から教育改革法に基づき、全国共通テストが実施された。英国でもとりわけ数学教育が重視され、労働党のブレア首相は、党の最優先政策を「教育、教育、そして教育」として、さらなる学力向上政策を打ち出している。

『超整理法』でおなじみの野口悠紀夫氏は、「教育は知識を詰め込むのでなく、考える力を養い、自分で知識を発見する喜びと能力を育てるものに転換せよ」という見解に強く反対して次のように語る。

「新しい発想、発見の多くは既存の知識を組み替えたり、それに対して上乗せしただけのものである。既存の知識をどれだけ蓄えているかが、独創性の有無を決定づけると言える。だから、創造性教育の出発点は『詰め込み教育』でしか有り得ない」と述べ、更に「ある年齢に達した後には徹底的した詰め込み教育を行うべきで、その時期は中学生以降だ」と語り、文部省のゆとり教育は間違いであり、教育システムを国際競争に勝つように根底から変える必要があると結論している。

たしかに先月訪れた中国でも、現地の中学校(日本の高校)では平日で12時間くらい学校で勉強していた。

ブッシュ前大統領並みに「教育目標」を掲げている民間企業がある。

例えば、あるパチンコチェーン店では、西暦2003年までに4等級社員
(店長待遇)を80名育成することを教育目標に掲げた。現状の20名から大幅にレベル向上を果たそうというもので、それに沿った形で研修カリキュラムも整備した。

また、有資格者数を目標設定する企業もある。方法は様々だが、こうした取り組みのように、企業でも「教育目標」を掲げた上で研修制度を設計しているところが少なくない。

一方、逆のケースもある。「当社は社内教育はやらない」と高らかに宣言しているケースだ。
一部上場企業の株式会社ミスミもそのひとつだ。同社は公募型チーム組織が特長で、従業員数230名で、540億円を売る。生産したものを販売するのでなく、顧客の購買機能を代理する、「購買代理商社」を営む新しい形の商社だ。

・株式会社ミスミ http://www.misumi.co.jp/
・ミスミの田口社長のプライベートカンパニー「株式会社エムアウト」
http://www.m-out.com/mout/yakuin.htm

その田口社長の自著『隠すな』を読まれた読者の方からメールを頂戴した。薬品会社のMさんだ。ご紹介してみよう。

以下、Mさんのメール

ミスミの田口社長の本を読みました。書籍の中では「人は自ら育つ」「社内教育はいらない」と書かれていました。書籍の副題も「オープン経営で人は育つ」となっているのです。

書籍のほとんどを読みましたが、完全には読みきっておりません。私のコメントはひかえますが、読み進めながらとったメモを示しますので内容を推察していただければと思います。

・手のうちを明かせ
・ギブアンドギブ「情報を得てこそやる気が出る」
・ホームページで月次決算を公表
・ディスクロージャーとディスオープンの違い
・土日社員
・辞めるのは自由
・人は自ら育つものである
・この社員は市場でいくらで売れるか
・チームと個人の業績には利益配分でこたえる
以上

“社員教育は不要”としつつも、人が自ら育つような組織環境にもってゆくのもひとつの教育方針だろう。「国家は人なり」、「企業は人なり」。だが人の育成に関する考え方や方法は国によっても企業によっても異なる。

「ゆとり教育」をしなければならないほど今の子供達にゆとりがないとは思えない。私は反対だ。

だが、民間企業の教育方針については唯一の正解と呼べるものはない。大切なことは、あなたの会社の人材育成方針や教育目標を明確にすることではないだろうか。