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日本の財政

さて、昨日のマガジンでは民間企業の68%が赤字であり、税金を払っていない由々しい事態にあることをお伝えした。そのことが、国の運営にどのように関わっているのだろうか。まず、本年度の国家予算をみてみよう。
以下の数字は財務省発表の「2001年度一般会計歳入歳出概要」より

【歳入】・・・収入予算

租税及び印紙税収入  50兆7,270億円
税外収入       3兆6,074億円
国債発行 28兆3,180億円
合計         82兆6,524億円

【歳出】・・・支出予算

一般歳出 48兆6,589億円
国債費 17兆1,705億円
地方交付税 16兆8,230億円
合計         82兆6,524億円

となっている。

これは、企業でいえば損益計算書にあたるものだ。この予算をみて気づくことがいくつかある。

まず、国債について。収入予算の1/3以上が国債発行、つまり借金に依存している。これを財政赤字というが、アメリカはかつて財政赤字と貿易赤字の双子の赤字にもがき苦しんでいた。失業率も8%を超えていた。しかし、今では税収の伸びに支えられて財政黒字国に転換している。世界の中では米国、英国、カナダ、スウェーデン、オーストラリアが財政黒字。財政赤字は、日本、ドイツ、フランス、イタリアなどだ。しかし、財政赤字の金額がGDPに占める割合をみると、日本は世界の中でも突出して高い。

予算に占める国債の割合を「国債依存度」というが、日本の場合、毎年異常な勢いでこれが高まってきている。傾向が悪化し続けていることが問題なのだ。

最近の国債依存度を調べてみると、
1991年  7.6%
1992年 10.1%
1993年 11.2%
1994年 18.7%
1995年 17.7%
1996年 28.0%
2001年 34.3%
となっている。つまりもうこれ以上は国債(借金)を増やすことは大変危険であることは誰でもわかる。

借金は返さなければならない。国債の場合は償還というが期限が来たら返済すべきものだ。その金額が支出予算のなかに17兆円占めている。総支出に締める国債(借金)の割合は20%を越える。

国のバランスシート(貸借対照表)をみてみよう。昨年秋に発表されたものだ。単位は兆円。

【資産の部】
現預金 33
有価証券 107
貸付金 268
その他42
固定資産 170
投資等 39
正味負債 776
<資産合計> 1435

【負債の部】
郵貯 253
民間保有国債 188
保険準備金 113
その他 84
公的年金負債 797
<負債合計> 1435

正味負債776兆円。国の財産の半分が借金によるものだ。借入依存度は54%になる。(776兆円÷1435兆円)

あなたの会社の貸借対照表をみてほしい。中小企業の経営指標によれば、全国の中小企業の借入依存度は、平均値で32%となっている。

(借入依存度=長短借入金÷総資産×100%)

従って日本という国は、全国の中小企業よりも財務体質が悪いことを意味する。

紙面と時間が限界にきた。一般論はこの程度にしよう。私たち民間企業で出来ることは何なのか。