自己変革

人としての基本

Rewrite:2014年3月28日(金)

名古屋のL 社の会議に参加した。社長の T さんは化粧品販売のセールスレディとして成功したあと独立。以来 20年、現在では 20名の社員を抱え、たくさんの代理店と会員を集めて 10億企業を作られた。人とお金に恵まれた秘訣は「ただひたすら運です」と謙遜される T 社長だが、司馬遼太郎は「名将の条件はひたすら運である」と述べているので、ひょっとしたら彼女の発言は謙遜なんかではなくて、究極の自信のあらわれなのかもしれない。

L 社の強みは社長の強運だけではない。お見受けしたところ、創業メンバーの役員をはじめ、幹部や社員の人柄が実にすばらしい。その日は会議のあと夕食もご一緒したが、皆さん気配りが充分に行きとどいた方々ばかりで愉快な夕食会だった。「基本がよく出来ておられる大人の会社だなぁ」と帰りのタクシーで思い出を反すうしていた。

T 社長を私に紹介して下さった東京の K 社長も女性。K さんも タイプは違えど運が良く、人に恵まれている点が共通している。いや、運が良いからこそ人に恵まれるのだろう。

「人」といえば、M 社の A 社長からお電話を頂戴した。彼女はお正月休みに銀座のアップルストアに行ってこられたそうだ。初めての訪問だし、iPad を買うのも始めてで、分からないことだらけ。少々緊張して訪問したそうだが、行ってみて驚いた。若い店員さんの誰もが実ににこやかで、すばらしい応対をされる。すぐにうち解けた気分になれた。A 社長は興奮気味に私に語る。

「Apple という会社がなぜ繁栄しているのかがアップルストアでよくわかりました。あのお店の接客レベルはどんなサービス業にも負けない。ひるがえってうちの社員はどうだろうか、とも考えました。お客様にこれだけにこやかで誠心誠意の対応ができるだろうかと。同時に、こんなスタッフ集団を作ってみたいという前向きな気持ちにもなれました」

アップルストア銀座で iPad を買うべしと彼女に提案したのは私だけに、この電話はうれしかった。

L 社にしろ、M 社にしろ、人としての基本が大切だというメッセージを新年早々に送ってくれた。人としての基本が徹底できずに悩んでいる社長も多いと思う。

・きっちり挨拶ができる
・明るくハキハキした応対ができる
・約束を守る
・叱責や訓育を謙虚に受け止める
・いつも目標や計画を最新に保つ
・仲間と助け合う

そうした基本的なことさえ徹底させることができれば、その上に乗っかってくる知識や技術はいつでも手に入る。OS(基本ソフト)が軟弱なのに、アプリケーション(応用ソフト)だけ立派、ということはあり得ないのが人間である。

そうした基本があって、その上にはじめて「運」が乗るのだと思う。