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営業の科学 ある運送会社と食品スーパー

Rewrite:2014年3月26日(水)

ある地方の運送会社では、客先に対してドライバーの対応や納期・品質などを定期的にアンケート調査している。
最近の結果では、「非常に満足」と「満足」とをあわせると80%にのぼった。そして一年間での顧客流出は10%に満たない。それでも10%の流出を金額換算すると、年間で7千万円の売上、1,000万円の粗利益になる。その1,000万円の粗利益流出を防ぐためにアンケート実施コスト200万円の投資を惜しまない、というのがこの運送会社の方針である。

新規客を一名獲得するために必要な経費はいくらなのか計算されたことはあるだろうか。また、一人の常連客は年間でいくらの利益貢献をしてくれているのか、調べたことはあるだろうか。
ある地方スーパーで3日間限定のセールを行ったときの結果は次のようになった。

1.チラシ投入コスト300万円(印刷+折り込み料)
2.チラシによる増加来店数 1000名
3.増加来店客のうち固定客になる比率 5%(目標値)
4.一人の固定客が一年間で消費してくれる金額 30万円
5.粗利益率20%
6.2×3×4×5=300万円

この数字の意味するところはこうだ。

一人の顧客が一年間で貢献してくれる粗利益は、30万円×20%なので6万円。このセールの効果で50人の常連客ができれば6万円×50人で300万円の粗利益貢献が期待できる。従って、チラシ経費に300万円使っても構わない。
一年で経費が回収できるうちは、どんどんチラシを打つべきである。この回収スピードが鈍くなったときには別の戦略が必要になるわけだ。
ついついイベント期間中の売上高目標に目が行きがちだ。だが、企業としての安定収益源は固定客である。一時的な来店数増加だけに目を奪われてはいけない。一時的な来店客を固定客に変える努力と、固定客がこれからも固定客でいてくれる努力の2点が最大のポイントである。