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商品の前にサービスを売る

Rewrite:2014年3月26日(水)

ある日、テレビのBS放送が映らなくなった。大手の家電量販店で買ったもので4年ほどたつ。まさか壊れるとは思っていなかったので、購入時の伝票は紛失してしまった。勇気を出して買った店に電話したら、あわただしい館内放送を背にした若い店員さんに事情説明するのが大変。
高機能な製品が増えるにしたがって、電化製品のトラブルに困惑する消費者は多いはず。

そうした中、ある家電販売店の社長とお会いした。
「当店よりも安く売る店があればそのチラシをご持参下さい、などと最安値をアピールするお店とは勝負しません。まったく別のところで勝負してきっちりと粗利益を確保する戦略だという。

この会社では、何と半径3キロ圏内の世帯の大半をデータベース化している。住所・氏名・電話から始まって主要家電品のブランドや品番・購入日・購入店などをデータベース化している。当面は世帯数の50%を完全に把握することが目標だという。そうした情報を入手する方法は簡単だ。無料出張修理を売り物にしているのだ。
たとえば、私のようにBS放送が映らなくなった個人宅へ24時間以内に訪問し、その場で直す。交換部品などは有料だが、たいていは設定や配線の問題で30分以内に解決してしまうそうだ。余った時間でアンケートを取ってくる仕組みだ。こうした地道な努力を始めて20年になるという。今ではパソコンやテレビなどの購入相談から操作指導なども無料サービスに加えているそうだ。

「一人のお客さんが困っていることは、百人のお客さんの悩みでもあるはずです。それを解決しますよってアピールしたらみんなうちへ電話してきてくれます。そこからお客さんとのお付き合いが始まるんです」
「感謝してくれたお客さんでも大型冷蔵庫や液晶テレビなどの高額品は量販店で買われます。でも子供さんが独り暮らしを始めることになったとか、ご主人が単身赴任されることになったとかいえば、すべてうちで揃えてくれる場合が多いですね」

こうした中小零細店の生き残り戦略にはヒントが多い。