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ベンチャー企業と投資家

Rewrite:2014年3月26日(水)

アメリカのシリコンバレーにはベンチャー企業が密集している。そこにいるだけで若者起業家の熱気を感じられる町があることは素晴らしいことである。

2000年頃、NHKで先進21カ国の学生にアンケートを行った。それは「あなたは起業する予定がありますか?」というもので、一番のアメリカは9%の若者が「はい」と答えている。それに対し、日本はわずか0.9%、1,000人中9人の若者しか起業予定がないと答えている。これは諸外国の中で最下位であった。さらにこの調査によれば、若者の起業意欲と国全体のGDPの成長率とを対比したところ、正比例することがわかったという。

シリコンバレーのベンチャー8,000社のうち、一年間で1,000社が入れ替わる多産多死社会・アメリカに対し、日本は少産少死社会になっている点が問題だろう。マスコミでは倒産件数の多さばかりを強調した報道をするが、むしろ開業率の低さを問題にすべきではないか。
しかも日本の開業率は年々減少し、廃業率は高まって、逆転現象を起こしている。『中小企業白書』でも、「廃業率よりも開業率のほうが、景気に対する相関関係は高い」と指摘している。また、国際比較においても日本は、自営業者の絶対件数が減っている数少ない国のひとつである。

シリコンバレーの熱気と興奮について、あるベンチャーキャピタリストは冷静に次の三つのことを述べている。アメリカの起業家と投資の関係を理解する上でヒントになるだろう。

1.私の役割は、常に起業家のなかにある種の秩序をもたらすようなものです。起業の際に問題になるのは資金を集めることではなく、人生の正しい時期に正しいマインドセット(考え方)を見つけることです。

2.企業家精神を持つ人たちの共通した特質は、彼らが究極のリスクテーカーでドリーマーであるということです。しかし同時に、彼らは気違いではなく、リスクと報酬の評価を計算しつくしている。しかも彼らのほとんどは、失うものがほとんどない。結婚前の、子どもを持つ前の、あるいは不動産のローンを持つ前の人たちが、究極のリスクをとるのです。

3.彼らのアイデアは、他の人たちと比べて特段深遠なものでないかも知れないが、少なくとも彼らの心の中では、それが世界を変え、彼らの生活を変え、彼らの収入や彼ら自身の満足をもたらすものとして捉えられています。そして、報酬はそれを逃すリスクに比し莫大なものとなっているのです。

4.企業家精神に満ちた社会を創ろうとするならば、素晴らしいアイデアを持って黄金の夢を追うリスクテイカーをもっとたくさん持たなければなりません。どの国においてもそうですが、大企業は創造的なことを実施に移すのにはよい場所ではないということです。発明者にとって報酬は大きくないし、内部での政治的やりとりが多すぎて、本当の創造的思考を窒息させてしまうからです。