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続・人口ボーナスと人口オーナス

先週のメルマガで「人口ボーナスと人口オーナス」について考えた。
世間では、「日本は元気がない」「日本経済は終わった」「日本人
もう外国人から期待されていない」などと日本を劣った国であるか
ように扱い、そして外国に投資している自分が賢いことを訴える輩
いる。そういう論者の話に耳を傾けてはいけない。

経済発展に影響を与える要素のうち、政治力や国民性などが問わ
るのはほんの一部であって、一番大きいのは人口の伸びである。
労働力増加率が人口増加率よりも高くなることを「人口ボーナス」
いうが、高度経済発展は人口ボーナスに負うところが大きい。
反対に、労働力人口の比率が下がり、従属人口(15歳未満と65歳以上)
の比率が増えると「人口オーナス(重荷)」状態になる。

1960年代から始まった日本の高度発展は人口ボーナスのおかげだし
いまから本格化する少子高齢化社会は人口オーナス入りを意味する
人口ボーナス期に適した働き方と、オーナス期に適した働き方があ
といわれており、昭和と同じような高成長は二度とやってこないの
ある。今後実現しよとしている令和の高成長は、まったく新しい発
による新しい働き方である。

まず人口ボーナス期には、インフラ系の電力、電気、水道、ガス
建設、道路、交通、製造などの分野が成長する。どれも力仕事が多く、
ガテン系の男性がたくさん必要とされる。単純な仕事をたくさんこ
す必要があることから、作業の標準化や単純化なども大切な要素に
る。教育もそういう人を育てることが主目的になる。
なるべく早く・安く・大量に生産するために働く人たちには、長時
労働の美徳を教える必要もある。人件費の安さを武器に世界へ輸出
る産業が国策に乗って伸びる。

一方、人口オーナス期はその真反対である。積極的に家や車や物
買ってくれる若年人口が減っていくので、たくさんのものを大量に
る必要はない。人口が減るので高付加価値なものを販売することに
る。すなわち生産性の高い仕事にシフトし、ガテン系の男性よりも
ワイトカラー系の男女が中心になる。高度医療のおかげで寿命がのび、
高齢になっても元気に仕事する人が増える。高い人件費を維持する
は、生産性を高めていくことが急務となる。

先進国であった国が他国を植民地にしたり、外国人の移民受け入
をせずにふたたび経済の高度発展を取り戻したケースはまだない。
日本がその先鞭をつけようとしている。
人口オーナスなりの成長戦略はつくれるはずだし、官民一体となっ
新たな成長戦略づくりが大切である。