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「経営」という言葉の語源

「三国志」を有名にしたのは吉川英治だが、「秦」の始皇帝を有
にしたのは「キングダム」の原泰久だろう。
10年ほど前に友人からすすめられて「キングダム」を読み始めたこと
がある。今では55巻まで出ているが、当時はまだ20巻ほどだったと思
う。かなり夢中になって読んだが、基本的に漫画を読む習慣がない
いか10巻で読むのをやめてしまった。

その後、何人もの人が「キングダム」を絶賛しているのを見聞き
るに及んでついに再挑戦を決意。今週、ふたたび第1巻から読み始めて
いる。再読であるにもかかわらずとても新鮮で、以前より面白く感
られる。

「三国志」は西暦200年ごろの話で、「秦」はそれ以前の紀元前200
年ごろの話である。今度は誰かが「秦」よりも前の「戦国時代」「
子百家」「春秋時代」さらには「周」の時代を有名にするかもしれ
い。

実は「経営」という言葉は周の時代の紀元前800年ごろ、周の詩人の
ことばに初めて出てくる。
祖先文王が霊台(祭壇)を築いて建国のシンボルとしたことを追想
て「霊台を経始し、これを経しこれを営す」と詠んだ。

「これを経し、これを営す」、そこから「経営」という単語に発
していく。
「経する」とは、無人の荒れ地を縦に耕していくこと。
「営する」とは、そこに住まいをつくり人が暮らせるようにすること。
つまり経営とは、荒れ地を耕して収穫をつくりだし、人々を幸せに
る行為をいう。それが経営の語源である。

現代のことばで言うなら、
「経営とは事業活動と人財育成を通して収益をあげ、収益を納税、
配、再投資して理想郷をつくりあげることである」となるだろう。

私たちが毎日行っている「経営」という言葉を「三国志」や「キ
グダム」の登場人物たちもひょっとしたら使っていたかもしれない
思うと、ゾクゾクしてくる。