その他

K先輩のにしひぐれざと問題など

僕は「亀頭」ではありません「鬼頭です」。
新入社員に配布するシャチハタスタンプに誤字があった。担当した
務の女性は平身低頭して鬼頭君に謝ったそうだが、鬼頭君はそのス
ンプを大切にしてくれたそうだ。彼が優しい青年で助かったわけだが、
今ならセクハラ騒動だったかもしれない。

20代のころ初めて東京出張したとき、K先輩が山手線の列車の中で威
厳に満ちた声でこう言った。
「武沢、上野はまだか。次はにしひぐれざとだ」。

一瞬なにをおっしゃっているのか分からなかったが、すぐに西日暮
(にしにっぽり)とわかり、「あと三つ四つです」と答えた。
あれから40年ほど経つが、いまも日暮里を通るとK先輩を思い出す。

先日雑誌を読んでいたら「間髪を入れず」を間違って読んでいる
が95%もいるとあってビックリした。常識を知らない人がそんなにも
たくさんいるのか。
そもそも「かんぱつをいれず」以外にどんな読み方があるのか。ま
か「かんはつ」って読む人が多いのだろうか?バカげている。

その記事のオチを知った私はもっとビックリした。
「かんはつ」が正しくて、たいていの人は「かんぱつ」と間違って
んでいるという。自分が間違ってた。

清々しいを「きよきよしい」と思い続けてきたスポーツ選手がい
ように、人にはそれぞれ特有の思い込みがある。
政治家は官僚が用意した原稿を読み上げることが多いので、読みま
がいが目立つ職業だ。

「訂正でんでんというご指摘はまったく当たりません」

安倍晋三首相が2年前の国会でそう答弁し話題になった。
「云々」(うんぬん)のことをずっと「でんでん」と読み違えてき
可能性がある。
かつて麻生太郎氏も「未曾有」を「みぞうゆう」、「踏襲」を「ふ
ゅう」と読んで失笑を買った。

自分が通っている病院をずっと「こじか」と思い込み、友だちに
摘されるまで小児科を「こじか」で通した木村カエラさんの場合は
まことにほほえましい。だが、笑えない誤読もある。

ある携帯ショップでの出来事。
いかつい客が「けんかばんはあるか!」と聞く。
対応した女性店員は恐れをなし、「けんかばんでございますか?」
聞き直した。
「そうだ、けんかばんや」と客の声が一段大きくなる。
「喧嘩の当番」のことだと思った店員は店長室に駆け込み、非常事
を告げた。店長はこんなとき慌てふためくわけにはいかない。
「わかった。なにかあれば非常ボタンを押すか警察に通報してくれ
と言い残し、客に対応した。

すると、どうも様子が変だ。
客が望んでいるものを聞くうちに、携帯の「廉価版」(れんかばん
とわかった。さすが店長、動じることなくそのときの商談は「けん
ばん」で押し通して販売につなげたようだ。もし「れんかばんです
ね」などと指摘していたら、お客はよそへ行っただろう。

だが、このお客、今もあちこちで「けんかばん」を呼びだして、い
んな店をアタフタさせているかもしれない。