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僕は毎日40%の力で経営している

一昨年と今年の二回、インフルエンザに感染した。
しかも今年は社員全員にうつしてしまったので、今朝、予防接種を全員で打ってきた。
あらかじめ予約の電話を入れておけば、ワクチンを確保しておいてくれる。

「二度打った方が良いですか?」と私。

すると看護師が、
「13歳以下の方はそうですが、大人は一回で充分ですよ。ただ、二度打たれる方の受付もしておりますので、その場合は、12月15日までにお越しください。それを過ぎると、ワクチンがなくなりやすくなります」
と教えてくれた。

ワクチンが足りなくなるからそういう言うのか、本当に大人は一度の接種で充分なのか、真相は分からない。
だが今年の冬、とても辛い思いをしたので、来月にもう一回打っておこうと思う。

さて昨日のつづき。

「精鋭無比」を標語にする陸上自衛隊 第1空挺団がどれだけ凄い精鋭集団かというお話しをした。
当然のことながら除隊後に経営者になった人もいる。
彼らは第1空挺団で学んだやり方を経営に活かす。

勝つための方法を徹底的に研究する。
みすみす負けると分かっている戦を仕掛けたり、丁半バクチのようなギャンブルもしない。
お客を分析し、敵情(ライバルの動向)を分析し、絶対勝てる勝負だけをする。
しかも本気を出して圧勝する必要などない。ライバルに一歩だけ秀でれば良いと考える。

友人が聞かせてくれた興味深い話とはこうだ。

第1空挺団 OB の A 社長は、除隊後に建設会社を関東で起こした。
起業する前に徹底的に市場を調べ、シェアを調べ、系列関係の強みや弱みを調べ、競合企業の財務力・人材力・営業力を調べ尽くした。
そのやり方は、戦闘作戦と同じで、市場 MAP をつくり、ライバルの動向などもそこに配置して戦場全体を俯瞰する。
その中で、自社がどこと組んでどのように動けば勝てるのかを考える。
毎日刻々と変わる戦況のなか、いつも市場 MAP に向かって考え、最善の動きをとり続ける。

A 社長の会社は今年で設立20年を迎えた。
年商は数百億円となり、個人資産は数十億円ほどつくったという。
A 社長が友人に話したことがおもしろい。

「経営は科学。きちんと勉強して科学的にやれば勝てるに決まっている。勝てないのは不勉強なのと、科学的に経営していないから。僕はいまだに100%の力を発揮したことがない。せいぜい40%ぐらいの力でここまでやってきた。だって40%で勝てるのに、あえて100%を出す必要はないでしょ。せいぜいライバルを5%ほど上回ればそれで充分なのですから」

友人は尋ねた。

「もし仮に A 社長が100%の力を出したら、会社はどうなると思いますか?」
A 氏はこう即答したそうだ。
「もし僕が100%で仕事をしたら、部下は全員死ぬでしょうね。体力的にも頭脳的にも精神的にもついてこれない。普通の人材をつかって仕事をする民間企業では、僕は100%を出してはいけないのだと思う」

私は考え込んでしまった。
自分はいったい何%出しているのだろうかと。
そして部下の本気さの何%を引き出しているのかと。
あるいはお客である経営者の本気さの何%を引き出せているのか。

そもそも私が100%を出したのは、いつのどんな場面だったのだろうか。

そして決めた。
うちの会社を100%本気の「精鋭無比」にしようと。