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成長が止まる会社の共通点

Rewrite:2014年3月30日(日)

名古屋の「株式会社Y建装」(仮名)は、内装工事を主体とした建設会社だ。とくに某・持ち帰り弁当チェーンの内装工事が多い。ある日社長は、Y建装自身もその持ち帰り弁当チェーンのFC店募集に協力することを決断。従来の「待ちの営業」から、積極的に弁当チェーン募集を開拓する攻めの営業に切り替えた。

そうした機敏な動きに対応できる社員はいなかった。売り方が今までとまったく違うのだ。
そこで、Y社長自身がトップセールスに奔走して結果をだした。その後、中部地区で数十店のFC店舗を開拓し、その工事をすべて請け負う。同時に弁当店の経営ノウハウも収得。自らも弁当店FCに加盟して食品店経営に乗り出す。
それから7年経った。Y建装の今はどうか。居酒屋、寿司店、焼き鳥店など合計すると直営店だけで数十店舗を経営する外食産業にのし上がった。今ではFCの主催社だ。その過程を表現するならば「熱狂」だ。

こうした会社は勢いがある。成長の限界を感じ前に次の成長戦略が始まるのだ。

2001年に日経ビジネスが『続・会社の寿命』を発刊した。そこに、本業比率70%、社員の平均年令30才というデータが掲載されていた。その数字に達すると成長の限界を迎えるという仮説である。そこで私はさっそくヤフーファイナンスでその当時の幾つかの企業を調べてみることにした。

<データは2001年当時>

・サイバーエージェント 【平均年齢】26.6歳
【従業員数(単独)】106人 【平均年収】6,298千円

・楽天【平均年齢】28.2歳
【従業員数(単独)】165人 【平均年収】5,427千円

・ワタミフードサービス 【平均年齢】28.9歳
【従業員数(単独)】446人 【平均年収】‐千円

・エイベックス 【平均年齢】30.8歳
【従業員数(単独)】302人 【平均年収】7,097千円

・アスクル 【平均年齢】37.2歳
【従業員数(単独)】140人 【平均年収】7,009千円

・ホンダ【平均年齢】42.7歳
【従業員数(単独)】28,513人 【平均年収】7,690千円

・トヨタ自動車【平均年齢】37.1歳
【従業員数(単独)】66,005人 【平均年収】7,851千円

・ソニー 【平均年齢】38.5歳
【従業員数(単独)】18,845人 【平均年収】8,804千円

当時のエイベックスのように意図的に高年令の経験者を採用して組織の安定を急いでいる場合もある。一方では、高齢者の早期退職をうながして若返りをはかっている企業もある。こうした会社を同じテーブルで比較しても傾向は見えてこない。

だが、あなたの会社で毎年の決算期における平均年令を計算し、その推移をみてみるとおもしろい。成長の限界と年令との相関関係はあるはずだ。毎年確実に一才ずつ加算されていくことだけは避けたい。

『成長の原理』(上原春男著 日本経営合理化協会刊)の著者は、工学博士の視点から企業成長のメカニズムをとらえている点がユニークで、その中に、企業の成長が止まる7つの危険信号というものを紹介している。

1.古い作業方法へのこだわり
2.新鮮な目標の欠如
3.内省的思考の欠如
4.企業における官僚主義のまん延
5.積極性の消失
6.古いカビのはえた知識の強制
7.批判に対する抑圧

この七つに、日経ビジネスの二つ「平均年齢30歳以上」「本業比率70%以上」を加えた9項目を定期的にチェックしよう。