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テクノロジーを味方にする

焼きたてのパンを食べたくなってパン屋に立ち寄る。
レジでは若い店員さんがトレイの上のパンを瞬時に見分け、レジに金額を打ち込む。
仕事だから当然なのだろうが、よくパンの値段を全部覚えられるものだ。
お金を精算したあとは手際よく袋詰めをして手渡してくれる。
日本全国どこのパン屋に行ってもこの光景は変わらない。

ところが今 AI がその光景を変えつつある。
先日の「がっちりマンデー」で AI(人工知能)をつかったレジを紹介していたが、これがなかなかスグレモノ。
トレイの上に乗せたパンをレジのカメラで識別し、瞬時にパンの名前と値段を表示してくれる。
1個1個のパンの値段を入力する必要がないので単価を覚えなくても済む。
これなら週末しか来ない高校生アルバイトや外国人でも問題ない。

パン8個を1秒でレジに入力できるという「BakeryScan」というシステムですでに市販されている。
こうした画像識別技術をレジ精算に応用したシステムは世界初だそうで、これによってレジ要員が半減できたケースもあるという。

パンのように商品に値札やバーコードを付けにくいものは「BakeryScan」が威力を発揮する。
パン屋以外で「BakeryScan」が役立っている意外な場所がある。
それは神社だそうだ。
売店で売っているおみくじは大きさなどによって値段が異なり、間違いやトラブルの原因になっていた。
そこである神社が「BakeryScan」を導入し、問題を解決したという。
時代の先端を行く神社だ。

しかし私たちは、パン屋や神社の売店ぐらいで驚いてなんかいられない。
アメリカや中国では無人コンビニがすでに営業している。
レジすらないお店なのだ。
店内で働くのは補充スタッフのみ。
小売業の人手不足問題と万引きロスが根絶する可能性がある。
無人コンビニでは店内のカメラが商品と人の動きをチェックし、お客が持ち出した商品代金をスマホ決済する仕組みだ。
すでに実験は終えて、本格営業が始まっている。
こうした海外企業のテクノロジーと日本小売業とで海を挟んだ戦争が始まっている。

AI を内蔵したカメラも市販されている。
これを設置すれば店内にいるお客さんの表情や仕草によって感情を推察できるようになる。
それによって顧客満足がリアルタイムで分かったり、商品が売れている理由(売れない理由)なども高い確率で分かるようになる。

テクノロジーがビジネスを変える時代はまだ始まったばかりだ。
経営者はテクノロジーから逃げず、テクノロジーを味方につけよう