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鶴岡・酒田にて

前期もすばらしい成績をあげられた N 社の経営計画発表会。
先週の金曜日は山形県鶴岡を訪問した。N 社は今期で創業百周年(会社設立67年)をむかえた会社。
日本で100年超の会社は3万3千しかなく、すでに現時点で1%企業の仲間入りである、と激励講演させていただいた。
名古屋から持参した Amazon Echo や Oculus Go をお見せしながらイノベーター理論の話などをした。

社員数200名超の会社だが、今回の発表会は来賓も20名と多かった。
N 社長の人柄や N 社の取り組みの素晴らしさに惹かれて、多くの来賓が集まるのだろう。

発表会終了後、来賓一行は近くの湯野浜温泉「愉快亭みやじま」に移動する。
料理も部屋も温泉もおもてなしも最高の旅館で、女将みずから、ほぼ我々につきっきりの接待をしてくださった。

日本海を眼前に見下ろしながら温泉に浸かり、そのあとは庄内の山海の珍味に舌鼓をうって酒を酌み交わし、語り、歌って呑んだ。
結局、数時間にわたって飲みつづけ、部屋にもどるとベッドにひれ伏すように倒れて朝まで眠った。

翌日の有志一行の旅がまたすごかった。
毎度、鶴岡にお越しになっている方のために、今回はおとなりの酒田を中心に午前8時から午後4時までの貸し切りバスツアーを N 社長に組んでいただいたのだ。

「五月雨をあつめて早し、最上川」は7月のこの時期に最上川(もがみがわ)を急流下りした芭蕉が読んだ句である。

五月雨(さみだれ)は読んで字の如く解釈すれば5月の雨になる。
従って、夏の季語ではなく春の季語であるべきだが、実は旧暦の五月雨は梅雨時の雨を指し、立派な夏の季語なのだ。

はじめて最上川を訪れ、句会に参加した芭蕉。
そのときはまだ急流下りをしていないので、こんな句を詠んだという。

「五月雨を あつめて涼し 最上川」
五月雨を集めてきた最上川の満満とした水は涼しく風流なことよ、という意味である。

だが次の日、船に乗って川下りを楽しんだ芭蕉は、その急流ぶりに内心で舌を巻き、昨夜の句をこう書き直した。

「五月雨を あつめて早し 最上川」

五月雨を集めてきたように流れが早い最上川のなんと豪快なことよ、となる。
急流にヒヤッとする思いをしたのかもしれない。

余談だが、「日本三大急流」とは、最上川、富士川、球磨川の三つである。
また、最上川という川は山形県しか流れていない。
229kmという流路距離は、一つの都府県のみを流域とする河川としては国内最長だそうだ。
私はてっきり岩手の方まで流れていると思い込んでいたので意外な気がした。

我々が乗り込んだのは20名ぐらいは乗れそうな一番豪華な客船で、天井も両側もガラスでガードされている。
ガイドは年配の男性だった。
地元の方言を織り交ぜながら軽妙なおしゃべりで1時間の船旅を盛りあげてくれる。
何曲も歌を聴かせてくれたが、「真室川音頭」が忘れられない。
動画を撮っておかなかったことを激しく後悔した。
真室川音頭(まむろがわおんど)は、山形県最北部に位置する真室川町の民謡である。

・・・
私しゃ真室川の梅の花 コーオリャ
あなたまたこのまちの鶯よ (ハァコリャコリャ)
花の咲くのを待ちかねて コーオリャ
蕾のうちから通って来る (ハァドントコイドントコイ)
・・・

その後、昼食を酒田屈指の「寿司割烹鈴政」でいただいたあと、酒田最高の料亭だった「相馬屋」を改装した「相馬楼」で舞妓さんの舞を鑑賞。
極めつきは土門拳写真館なのだが、こちらについては明日にしたい。