その他

人それぞれの習慣

今月初めの「名古屋経営計画合宿」に飴を差し入れてくれた人が3人もいた。最終日に皆さん、それを置いていかれたものだから、以来、飴をなめるのが私の習慣になった(なってしまった)。
一日一袋なめる日もある。人はそれぞれ、ちょっとしたことをきっかけに自分なりのルーティーンをもつようになり、愚直にその習慣を守るものだ。今日は著名人の習慣をみてみよう。

ベートーベンは毎朝6時に起床し、朝食はコーヒーだけ。豆は60粒を自分で数えながら選び出していた。その後すぐに作曲活動を開始し、14時半に作曲を終える。勤務時間は約9時間。
その後、ランチではワインを楽しんだ。食後は、長時間の散歩に出る。
ベートーベンはかなり早足で歩いた。歩くときは必ずポケットに楽譜と鉛筆を携行し、ひらめきがあればメモした。基本的にベートーベンはメモ魔で、メモさえとればふたたびそれを見ることはなかった。
「一度でも書けば忘れない」からだそうだ。

散歩から戻るとふたたび作曲を再開し、17時半ころまで仕事をした。
その後居酒屋に出かけることが多かった。まず、ビールとパイプタバコを楽しみながら新聞を読む。その後、夕食を取って帰宅し、22時には就寝した。健康に気をつかっていたのがよくわかる習慣だ。

作家のヘミングウェイは何よりも時間の無駄が嫌いだった。時間を無駄につかうと、とても許されない罪を犯したような気持ちになった。
大きな表を自分でつくって、毎日の文字生産量を記録し、自分を甘やかさないように管理した。
仕事も私生活も自ら課した規律に忠実であろうとした。正午までは必ず執筆し、終えるとプールで半マイル泳いだ。

小説を書くときは立って書いた。それが自分にあっていることに気づいたからだ。書き始めることさえできれば、あとは大丈夫。活力は自然に生まれてくる。いつも最高のものを書こうと努力したが、ときどき運よく自分の力以上のものが書けることもある。
本のタイトルは最後に決める。書くのがつらくなると、人の本を読んで、自分を元気づけた。
キューバのバーでダイキリを飲むのが自分へのごほうびだった。

フランスの作家バルザックはコーヒーを牛飲した。一日80杯は飲んでいたので、1時間に数杯、10分に1杯は飲んでいた。
バルザックの執筆は主に夜間に行われた。長時間にわたって、何回も何回も推敲を繰り返しながら執筆した。
小説を書いている時間以外は、社交界でご馳走をたらふく食べるか、知人と楽しく過ごすかのいずれかに費やした。執筆が終わって、疲れをおして社交界に顔を出すこともしばしばだった。むしろ社交の場が癒やしの場であった。

コーヒーだけでなく、バルザックは伝説的な大食いでもあった。
晩年には失明しているし、腹膜炎でなくなっている。おそらく大食いによる糖尿病が原因だろう。
社交界で贅沢するために事業にも手を出したが案の定失敗し、莫大な借金を背負った。一発逆転のため、晩年、ポーランド貴族の未亡人と結婚した。もちろん彼女が借金を全部肩代わりした。

バルザックのかかりつけの仕立屋は「ビュイソン」(Buisson)だ。
どうして店の名前が分かるのかというと、「ビュイソン」に勘定を支払ったことがなく、バルザックの作品の中で店を宣伝したため記録に残ったのだ。

ちなみにバルザックは時々、名言を吐いた。

・諦めは日常的な自殺である
・熱狂できないということは凡庸のしるしだ

他人の習慣っておもしろい。