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鍛錬せねば

90歳の老人が「心電計を計るので軽く運動してみてください」といわれた。すると、その老人は腕立て伏せを始めた。「無理なさらないで」と医師は止めたが、老人は150回ノンストップで腕立てを続け、
「もういいですか」と手を払って立ち上がった。
医師は唖然として言葉を失っていた。

これはどっきりカメラではない。実話らしい。
老人の名は佐川幸義氏。合気道・大東流の師範である。このエピソードは佐川の弟子、木村達雄が書いた『透明な力』(講談社)に出てくる。

千回繰り返すのが「鍛」で、一万回繰り返すのが「錬」、あわせて「鍛錬」と言う。そう何かで読んだ。
このメルマガも4回ほど「鍛」をやっただけで、まだ「練」に到っていないから道半ばだ。

人間の身体と心にも鍛錬が必要だ。鍛錬に終わりはない。

「人間は80歳まで強くなれる!」と『武道の力』(時津賢児著 大和書房)にある。
なのに、野球でも相撲でも、サッカー、スキー、マラソン、格闘技など何でもが、20代や30代の若手選手が優勝する。つまりその年齢で選手としてのピークを迎え、それ以降は衰えて行くばかりである現状に警鐘を鳴らす本でもある。

例外は剣道。
剣道だけは、若手がハァハァと息を乱していても古老の剣士は微動だにせず、勝つ。
鍛え方次第でスポーツは80歳まで強くなれる。当然、脳の働きだって80歳までは強化できる、という前提で書かれた本だ。

鍛えるというと最近は逆三角形のマッチョが流行しているが、あれは武道の技を鍛えるという点で効果がないそうだ。武道家になるには武道家としての鍛え方がある。鍛える目的を間違うと逆効果なので、よく学んでから鍛え始めよう。

★『透明な力』
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★『武道の力』時津賢児著、大和書房
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