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「エアー・ビー・アンド・ビー」のゆくえ

数年前のこと、東京の友人 T 氏 が名古屋に遊びにきた。
「今回のホテルはどこ?」と私が尋ねると「民泊サイトから予約しました」と彼。私が怪訝な顔をしていると、旅行者用に個人が部屋を貸しているのだそうだ。しかもそれが流行っているのだとか。
率直にいって「そこまでしてコストダウンしたいのかなあ」と思った。
だが最近、T 氏はなんてトレンドの先端を行っていたのだろうと遅まきながら気づいた。

『Air bnb Story』を読んだからだ。

エアー・ビー・アンド・ビー、サンフランシスコで2008年に創業されたこの民泊マッチングサイトは最初こそエンジェル投資家に笑われ、誰も相手にしてくれなかった。
今では企業価値が3兆円を超える規模にまで発展した。
「世界中を居場所にする」という創業メンバー3人(創業時はいずれも大学生)の執念、粘り強さなどが結実した格好だ。打たれれば打たれるほど強くなっていく3人。

ホテルに行けば、標準化されたレイアウトやサービスを受けることができる。没個性的ながらも、それは旅行者に安心感を与える。
ホテルはたいてい駅前や町の繁華街にある。そこで寝泊まりし、その近くで食事や用事を済ませることは「バスの中からその町を見学する」行為に似ている。

一方、民泊の宿に泊まることは、そこで生活する人たちの輪に加わることになり、バスから降りて直接その町の住人になるのに近い。
民泊の魅力は経費が安く済ませられることだけではないようだ。

「Airbnb」(エアー・ビー・アンド・ビー)はサンフランシスコに本社がある。宿泊施設や民宿を貸し出す人向けのウェブサイトを運営し、今や世界192カ国、33,000の都市で80万以上の宿を提供している巨大企業に成長した。まさしく旅行や出張のあり方を変えた会社なのだ。

★エアビーアンドビーの日本語HP → https://www.airbnb.jp/a/japan/

同社を起ち上げた三人の若者、チェスキー、ゲビア、ブレチャージクの三人は貧乏学生だった。自分たちがサンフランシスコで借りているアパートの家賃が払えそうもない。そのときシスコで大きな国際会議が開かれることなり、シスコ中のホテルが満室になっていた。
そこで自分たちの部屋を貸し出してお金を稼ぐアイデアを思いつく
それがエアーベッド付きの個室と朝食を提供するサービスだったことから「エアーベッド&ブレックファースト」となり、のちに略して、「エアー・ビー・アンド・ビー」になる。

彼らの小さな目論見は当たった。ネット経由で彼らの宿を借りてくれる人が表れた。その成功体験が基になって3兆円企業「Airbnb」に発展していく。
『Air bnb Story』を読むかぎり、彼らの物語はまだ始まったばかりだ。
株式だって公開していない。この分野がこれからどのように旅行や出張を変えていくのか注目していきたい。

★『Air bnb Story』(やや長いが、文章も訳もすばらしい)
→ http://amzn.to/2x9J5Uw