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祝儀袋の考察

松下電器(現パナソニック)はある時期、大きな会合を開くときには関東ならここ、関西ならここと会場を決めていた。熱海温泉のど真ん中にある「ニュー フジヤホテル」もそのひとつ。
有名な「熱海会談」(昭和39年)もここで行われ、松下幸之助が壇上に三日間立ち続けたエピソードが残った。

あれから半世紀経つが、いまもニュー フジヤホテルは営業しており当時の仲居さんがこんな思い出話をされる。
「松下(幸之助)さんはとても思いやりのあるお方で、担当する仲居全員に祝儀袋を手渡しされてました。袋のなかはいつもピン札の一万円札が入っていたものです」

当時、初任給は2万円なので、祝儀袋には10万円入っているような感覚だったのだろう。熱海では松下ファンが今も多いのではないかと思い、ベテランタクシーに聞いてみたら「松下さん?さあ、特に何も思い出さない」ということだった。熱海温泉と松下電器の関係はどうなのだろうか、少し気になる。

祝儀袋といえば、最近、S 社長から祝儀袋をいただいた。
正確にいえば「大入り袋」なのだがなかにはピン札で3千円入っていた。
「どうしてまた」と尋ねると、理由を聞かせてくれた。

S 社長の会社は半導体関連の部品製造業を営んでおり、いま生産が追いつかないほど受注が活発なのだそうだ。当然、業績は絶好調。
がんばってくれている社員やその家族、ステークホルダーなどすべてに「大入り袋」を配るのが S 社長の役目だとか。支給基準は月間売上が過去最高を更新したとき。
ところが昨年末、更新不可能と思えるような月商をたたき出したことから、「大入り袋」はもう無理という空気が社内に漂った。
そこで S 社長は大入り袋の支給基準を変更し、該当月の過去最高月商を更新したら支給することにした。
「そうすれば、毎月チャンスはある。僕もたくさんの人にこれをお配りできる」とまるで花咲かじいさんのように大入り袋を配り回っているそうだ。S 社長のポケットマネーで「大入り袋」を配っているというから尚更すごい。

なるほどなぁ、「祝儀袋」「大入り袋」、上手に使えば周囲に幸せと思い出をふりまくことが可能になる。

私も S 社長から「大入り袋」をいただいた翌日、「がんばれ!社長」流の大入り袋システムを考案した。月間営業利益目標を超えた分の25%を「大入り袋」原資としてプールし、四半期ごとにそれを社員に支給するというもの。税理士とも相談し、税法上の課題も確認した。

さて、明日は社員に対して「補助金」を支給している会社をご紹介したい。