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もっと仕事のスピードを上げよう

Rewrite:2014年3月21日(金)

“スピードという言葉が経営の重要テーマになって久しい。いまではスピードが早いことは競争の武器と言うよりは、生き残りのための当然の条件になった感がある。ネット環境や通信環境が整ったおかげで、世界のどこにいてもリアルタイムに近いレスポンスと行動がなければ仕事の評価は下がる。

そんな時代にありながら、遅々として経営改善が進まない会社がある。「評価制度を導入する」と言い続けて5年になるのにいまだに完成していない会社がある。ネット通販を手がけると宣言して4年たつが、まだ何を扱うか決めていない会社もある。驚くべきばかりの”スピード”である。

笑い話のような、こうした出来事がなぜおきるのだろうか?スピードを上げる方法を考える上で、何がスピードを奪っているのかを調べてみると、次の3つであることがわかる。

1.決断に必要な情報がトップのもとに集まるのに要する時間
2.トップが、決断そのものに要する時間
3.トップが決めたことが、現場で実現されるまでに要する時間

このように考えていくと、スピード経営というテーマの正否を握るのは、トップ自身であるようだ。1、2、3のそれぞれの中で、我社が改善すべきはどの点なのかを発見するだけでもスピード向上の効果があるはずだ。

仕事のスピードを支えるものは、社長以下、全社員の仕事のこなし方がどうなのかを見る必要がある。私自身、店頭公開企業にいたことがある。このような伸び盛りの会社では、仕事が山ほどにも待ち受けており、しかもすべての仕事が納期にきびしい。

たとえば、総務部門に対して社長から次のような指示がでる。「全店舗の収入印紙代コストを合法的に3割以上削減する方法をレポートしてほしい」期限を聞くと、「別に急ぎじゃない」と言われ、ホッとしていると、「今度の常務会のときでよい」となる。今度の常務会は6日後だ。あわてた総務部員は文献をあさり、会計士を訪問し、税務署に相談に行く。そして、6日後の常務会には70点程度のレポートが提出されることになる。
この場合、100点を取る必要はない。まず社長が知りたいことは、コスト削減の実現可能性があるのか否か、あるとしたら、その方法論や障害と対策などをラフに聞きたいのだ。
仮に納期が、今年中とか、来月中の場合どうなるか?締切までに余裕があれば、レポートの得点があがるわけでもない。結局、なにもしない期間が多くなるだけだ。

その仕事は、拙速(拙いが速い)を尊ぶのか、それとも巧遅(じっくり完成度を高める)を尊ぶのか、見極める(見極めさせる)必要がある。