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アンドレ・カンドレ→井上陽水

テレビを見ていたら、なつかしい芸人が出ていた。
「この人、芸名を変えてから一気に売れなくなったね」と家人が言う。
ネーミングはとても大切なものだが、それがマーケティングや経営の視点で語られることは少ない。科学的に説明できないからだろうか。

名は体を表すというが、ネーミング如何で製品やサービスの売れ行きが大きく変わることは間違いない。
マクドナルドには「ダブルクォーターパウンダー」が売られている。
クォーターのダブルだから、4分の2。つまりハーフだ。
大人しく「ハーフパウンダー」という名前にしてしまっても良いのだが、「ダブルクォーターパウンダー」ほどヒットしたかどうかは怪しい。

『ネーミングの謎』(博学面白倶楽部著、王様文庫)には、製品名や会社名にまつわる様々なエピソードが紹介されていて興味がそそられる。今日はその中からほんの一部をご紹介してみよう。

まず伊藤園の「お~いお茶」。この製品が発売されたのは1985年2月のこと。緑茶の缶入りは技術的に難しいとされていたこの当時、伊藤園は技術課題をクリアして発売にこぎつけた。製品名はストレートに「缶入り煎茶」だった。だがほとんど売れなかった。そこで4年後、製品名を「お~いお茶」に変更したところ売上が倍増した。その後ペットボトル化したことで更に躍進し、お茶飲料の定番にまで成長した。

サントリーの缶コーヒー「BOSS」も発売当初は「ウエスト」という製品名だった。それを「BOSS」に変えた途端、年間販売目標の半分近くを一ヶ月で売り上げたという。

抗菌防臭靴下の「通勤快足」も「フレッシュライフ」から改称して売上を10倍にしている。私も愛用している上質なティッシュ「鼻セレブ」は「モイスチャーミスト」から変更して8倍になった。

意外なところではタレントの芸名。
井上陽水は「アンドレ・カンドレ」で1969年にデビューした。だが、鳴かず飛ばずだったので、1972年、芸名を井上陽水(ようすい)と改め、「人生が二度あれば」で再デビューを果たしブレイクした。

お笑いコンビ「ダウンタウン」も最初は「まさし・ひとし」でデビューしている。その後、「松本・浜田」「ひとし・まさし」「ライト兄弟」などの芸名で活動するも思ったほど売れず。喫茶店でたまたま開いた雑誌の文字からコンビ名を「ダウンタウン」に改名したのがデビュー翌年の1983年。そこから一気にスターダムをのし上がっていく。

製品・サービスや会社の名前が成功度合いを決めている、ということも忘れてはならない。

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