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続・社長の現場 その1

株式会社おおしま、大島康孝社長の場合。

3,000食で大手といわれるお弁当業界にあって毎日5,000食以上の弁当をオフィスや幼稚園に届ける株式会社おおしま(大島社長)のお弁当。30年ほど前、建設業界から転身し自宅の庭を改造してはじめたお弁当ビジネスがここまで大きくなったのはなぜでしょう。
創業者であり、現社長でもある大島康孝社長に直接うかがいました。

木曜日号のつづき。

★木曜日号 → https://e-comon.jp/?p=19598

― お弁当の平均単価はいくらですか。原価や経費などはどの程度に抑えるようにしておられますか?
― いろんなお弁当がありますが、平均すると400円台前半になります。
幼稚園用となると300円以下になります。原価についてですが、人件費を含めた製造原価率は70%を超えます。業界トップクラスの会社になると50%前後の原価率ですので、うちはまだ原価率が相当高いです。

― それでも利益が出るのですね。
― その分、ローコスト経営に徹することで利益をひねり出しているというのが現状です。

― 具体的には、どのような取り組みをされていますか?
― まず原価の把握ですね。仕入原価と製造原価がありますから、それぞれ細かく予算化し、実績把握につとめる必要があります。仮に仕入れの原価率が40%だっ
たとしても、人件費や償却、ロスなどを加えた製造原価率が70%以上にまではね上がります。メニューごとの仕入原価率、製造原価率をきっちり把握すべきなのですが、そのあたりはまだまだ充分でないのがいまの当社の課題です。

― それ以外にはどんなことに力をいれておられますか?
― 注文数と製造数の誤差をなくすことです。正確にいえば、前日の夕方には翌日の仕込みを済ませるわけですが、注文が入るのは当日の朝です。毎朝4時か5時ころから見込みで生産を始めるわけですが、5,000食作って100食も余らせたら利益が吹っ飛んでしまいます
実際に、昨日50食注文いただいた会社が今日は10食になる、ということもあります。かといって生産数を少なくすれば今度は機会ロスが出てお客様に信頼されなくなる。そのあたりの見込生産の精度を高めることも当社の重要課題です。

― お客さんに前日までに注文してもらえば良いのでは?
― お客様ごとに、ある程度の注文予定数はお聞きしていますが、確定するのはその日の朝です。お客様の会社でもその日のお弁当数をその日の朝に集計しておられるのです。その日のお弁当メニューや天候、お客様の気分などで弁当にしたり、外食されたりします。

― なるほど
―猛烈に暑い日や寒い日、大雨の日などは外に出たくないのでお弁当が増えます。反対に心地良いお天気の日には弁当が減ったりします。
こちらが天気予報やイベント情報などをもとに判断するしかないのです。あとは配送や営業のスタッフがお客様から前もって情報を得ておくことによっても予測の精度が上がります。

― ロス率の目安はどの程度ですか?
― 1%以下を目標にしています。業界トップの会社は0.1%ですので、まだまだ精度が低いと思っています。つまりお弁当を1万個つくっても10個しか残らない計算です。コンピュータをつかわずにそうしたことが可能だと聞いていますので、当社もそれを目ざしています。

― 他にどのような工夫をされていますか?
― 製造スタッフにベトナム人女性を採用しています。最長3年というしばりがあり、毎年ベトナムに飛んで採用面接をしてきます。日本語が話せる勤勉なスタッフが多いので助かっています。

― 今後の取組課題をお聞かせください。
― たくさんある課題をクリアしていくのは私を含めた「人」です。
したがって今後は、弁当づくりの情熱と同じくらいの情熱で人づくりをしていきたいと思います。7月から始まった今期は「人事制度の確立」「パートの戦力化」「予実管理力の強化」に取り組みます。

― ありがとうございました。ますますのご活躍を祈念いたします。

★株式会社おおしま(大島康孝社長)
愛知県名古屋市天白区中坪町155番地
http://www.e-oshima.co.jp/