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あこがれの職業「動物飼育係」

昨夜の「がんばれ!ナイト」の会場は八重洲。ゲスト講師は移動動物園を運営する Zookiss(ズーキス)の島田直明園長と、ちゃんこダイニング「玉海力」を経営する河邉幸夫社長。
それぞれ一時間という限られた講演時間のなかで、聴きどころ満載のお話しだった。参加者にとっても至福の時間だったはず。今日は印象的だったところを選んでご紹介したい。まずは Zookiss の島田園長の講演から。

私(島田園長(54))は動物が大好きで、子どものころから「動物飼育係」にあこがれていました。動物と直接ふれあうことができる最

高の仕事だと思うのです。高校を卒業するとすぐに「スター飼育係」N さんに師事するため、東武動物園に入社しました。18歳から38歳まで20年間勤務させてもらいました。

その後、独立しました。退職金でワゴン車を買って改造し、移動動物園の仕事を始めたのです。資金がないので、動物園とはいっても犬2頭だけが商品でした。動物を触りたい、ふれあいたい、という人たちの所に動物を届け、ふれあいを促進する動物雑学トークでお客さんに楽しんでいただくようにしました。

最初のころのお客さんは幼稚園や、デパート、ショッピングモールの屋上でした。遊園地や水族館などの集客施設からも招かれるようになりました。飼育係の人脈をつかって要らなくなった動物を買い取るようなことをしていくうちに徐々に動物が増えていきました。スタッフも増やしていきました。今では20名の社員(パート含む)と40種類の動物(頭数は400)になっています。

動物を間近に見て、触れあってはじめて分かることがあります。
ハリネズミというのはネズミという名前が付いていますが、実際にはもぐらの仲間です。あの尖ったハリは毛が変化してできたもので、触るとチクチクして痛い。写真で見るだけでは分からない、遠くで観ているだけでも分からない。実際に触ってみることでハリネズミとの距離がグッと近くなるのです。それが「ふれあい移動動物園」の魅力です。

羊の毛は白くてフワフワしているというイメージがありますが、実際に触ってみられた方はいますか?
意外に脂っぽいのです。ベタベタします。皮膚から分泌している脂が原因で、化粧品の原料にもなるラノリンという成分です。「化粧品なので手荒れの人は手に馴染ませればいいんだよ」と私が言いますと、実際に多くの人がそうされます。
「可愛いね、暖かいね」というだけの動物観賞から一歩踏みこんで、動物と直接ふれあうことでお客さんは癒やされ、徐々に動物にも人にも優しくなれるのではないでしょうか。そうした願いがこの仕事を続けている元になっています。

動物への思い一本でここまでやってきました。考えてみたら、ビジネスだとか会社経営に関することをなにも知らずにやってきました
今年1月、社長をやってくれている妻が「武沢先生の本気講座を受けにいこう」と誘ってくれたので思いきって行ってみました。
目からウロコでした。4月には創業以来はじめての「入社式」を、5月には「経営計画発表会」を行うことができました。経営者としてやるべきことが明確になりました。
今後は、私と同じような思いでがんばってくれているスタッフを育てるために「動物飼育係訓練所」をつくることにしました。そして皆さまのお知恵を拝借しながら、3年後に今の2倍規模の会社に育てていきたいと考えています。

今日はご清聴いただきましてありがとうございました。

武沢追申:この日のために購入したての iPad Pro と人生で初めて使うパワーポイントを駆使してのご講演でした。
島田園長、ありがとうございました。

<次号(月曜日)は玉海力の河邉幸夫社長の講演より>