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「知謀社長」の逃げ場所は会議

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自称「知謀社長」(ちぼう しゃちょう)がいた。

「知謀湧くが如し」(ちぼう わくが ごとし)という言葉が好きらしい。日露戦争のとき、東郷平八郎長官が参謀の秋山真之(さねゆき)を称えた言葉といわれている。

「知謀社長」は尋常ならぬアイデアマンだ。毎週一回の経営会議のつど、新しい事業構想や新・販促アイデアが打ち出される。まるでアイデア会議の様相だ。

「君たちには新しいアイデアはないのかね」と他の役員を見まわす。役員は恐縮しつつも、「いやあ、社長、本当にスゴイですね」とか、「そうしたアイデアはいつお考えになるのですか」などと感心しきりである。「だろ」と社長も悦に入る。

私がお見受けしたところ、この社長は大変よく勉強されているし、仕事が大好きな様子。会社を良くするために人生をオールインされているからこそ、いつでも仕事のアイデアを思いつくのだろう。

「策士 策に溺れる」という。三国志で諸葛孔明が敵方の大将・曹操の作戦を見やぶってそう言った。策を弄し過ぎると、敵方にそれを見やぶられやすくなるという戒めだ。

「知謀社長」は策に溺れる人ではない。ただ、策が多すぎてほとんど実行されないというところが問題だ。実行されたとしても簡単に諦めてしまう。まだうまくいっていないのに、すぐにやめる。なぜなら、成功しそうなアイデアが他にもたくさんあるからだ。

選択肢が多すぎることの問題がここにある。知謀社長はアイデアを出すことを止めればいいのか?というと、そうでもない。アイデアをたくさん出すという段階と、アイデアをしぼり、ひとつのことで結果を出す段階とを明確に線引きすべきなのだ。

別の表現をするなら、アイデア出しの段階では情報や知恵、頭の柔らかさがものをいう。だが、その中からひとつ選んで実行し、結果を求める段階では別のものが求められる。それは愚鈍さや根気のよさで
ある。どちらかというと愚鈍さや根気のよさはストレスワークであもる。ストレスを避けて、簡単に手っ取り早く成功しようとするために「知謀」に逃げているのだとしたら、知謀社長では決して成功しないだろう。

世間にはアイデア不足の社長の方が多いので、アイデアが豊かなことには胸を張ろう。同時にアイデアをしぼり込み、ひとつに賭けるという段階もあることを忘れてはならない。なぜなら、アイデアに巻きこまれる幹部や社員、パートナー企業との関係が正常でなくなる可能性があるからだ。

経営者の最終的な通知表である業績を良くするするためにも選択肢を絞り、後ろの橋を焼くという決断をくだそう。

知謀社長