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30分ルール

ある中国人ビジネスマンが日本で起業する。

彼は日本に留学生としてやって来て7年。大学院を卒業した昨年から、日本の大企業からマニュアルの翻訳などを請け負う事業を開始。大手自動車メーカーなどを中心に、翻訳や通訳の仕事が増える一方だという。最初は彼一人で対応していたが、やがて手が回らなくなり、今春帰国した際に、地元中国の若者に応援を頼んだという。

その若者組織が中国国内に広がり、頭脳明晰で向上心あふれる若手人材が沿海部一円に組織できた。彼らのバイタリティや好奇心は、翻訳事業だけで満ち足りるものではなく、日本に向けた有力な事業案が幾つもリストアップされているという。

その社長であるS君とお会いした際、彼が興味深い話をしてくれた。

「インターネットのおかげで、中国で若者を組織するのは簡単なことです。しかし、その彼らが有能かどうかを見極めるのは簡単でない。でも、ある程度選別することはできます。それはメールでのマナーです。」

メールでのマナー?

「はい。私は“30分ルール”と呼んでいますが、非同期を同期であるかのごとくコミュニケーションできないと、国際的な事業展開はできないと思っています。」

非同期を同期?

「そうです。メールや手紙、FAXなどは、面談や電話と違います。その場にお互いがいないわけです。これを非同期といいます。非同期なものであればあるほど、マナーを大切にしたい。特にメールの場合、送信したのに1~2日放置されると、それだけで不信感を抱いてしまいます。そこで“30分ルール”を作ったのです。」

その中味は?

「メールを受信したら、その場で読む。読んだら30分以内に返信するというルールです。それを守れない人はネット組織の中では仕事ができない人ということになる。」

それは厳しいね。

「30分で返事ができないということが分かれば、その理由と返事ができる日時を返信すればそれで良い。とにかく、メールで快適なコミュニケーションが出来ることが仕事の有能さの第一条件です。仕事の仲間を大切にしようという配慮ができない人は、その時点で失格だということですよ。」

彼との対話は以上だが、温厚そうなS君の表情とは逆に、厳しい仕事の姿勢はさすがだと思った。

メールの返事をしない、返事が遅い、たったそれだけでNGが出る世の中になった。「受信メールが多くて・・・」なんて言い訳は通用しない。受信メールが多くなったらなったで、次のステップの対応をしなければならないのだ。

私も“返信率100%”めざして新たなチャレンジを始めねば。