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続・仕様をくれ

昨日の「仕様をくれ」に対して多数のメールが届いている。大半が技術系の方々であり、その中からYさんのメールをご紹介したい。

・・・(前略)
さて、3/24のポイント「仕様をくれ」ですが、誠に共感を覚えました。
昨今のお客さまの要望としては使い古された言葉ではありますが、「ソリューション」を求められております。それは素晴らしい技術でもなく素晴らしい製品でもなくお客さまが今何に困っているのか?を聞いた時に「こうしましょう!」を言える解決策に尽きると私は思っております。その解決策として素晴らしい技術が使えるのか、自社の製品が使えるか。その思考こそが今、まさにエンジニアに求められているものなのではと痛感しておる次第でございます。
正確な仕様に基づく、精密な成果物。それも良いでしょう。しかしながら今、本当にエンジニアにとって必要なのは困っていたお客さまがうれしくなる「解決策」を提案してあげることだと思っています。そのために常に新しい(楽しい)技術・知識を習得し、それを使って誰かをうれしくさせる思想。それがこれから求められるエンジニアではないでしょうか?
(中略)
そうそう、ご参考までに。今回のテーマにピッタリの本がありました。SEの世界もなかなか面白いものです。職人気取りと本当の職人の違いがよくわかり思わず「いるいる、こういうエンジニア。。。」と笑ってしまった本です。

SEの持つべき「思想」―できるSEは何を考え、どう動いているのか
秋月 昭彦 (著)、 瓜生 聖 (著) すばる舎刊

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883992160/ref%3Ded%5Fbest%5Fh%5F1%5F4/249-4111753-0382749
・・・

Yさん、本まで紹介いただいてありがとう。たしかに「ソリューション(問題解決)」と聞くと、大がかりなシステムやソフトを用いた問題解決を連想する。しかし、それだけではなく、技術者個人から出るアイデアや提案自体がすでに「ソリューション」活動の始まりなのだ。また、一緒に仕事をしていて安心できる技術者は、一貫して目的目標志向であり、コスト意識や時間意識がいつも働いている。つまりそれが、顧客志向そのものであり、ソリューション(問題解決)に不可欠な思想だといえる。

ハンバーガーを買いに行ったとする。カウンターレディが「何になさいますか?」と尋ねるのでダブルチーズバーガーセットのLサイズを注文し、ドリンクはコカコーラにした。

するとそのレディが、「お客様、まことに申し上げにくいのですが、お客様の体型からお見受けしたところ、かなりの体脂肪が付いていらっしゃるご様子。お客様の将来のことを考えて、私はフィレオフィッシュにウーロン茶をおすすめしますが、いかがでしょうか?」と言われたらどうするか。きっと不愉快に違いない。ここに「ソリューション」のヒントがある。

カウンターレディは、お客の注文通り、迅速かつ気持ちよく仕事をすることに価値があるのだ。それが彼女の、いやこのお店のソリューション活動なのだ。正確さや迅速さ、応対の気持ちよさがこの女性の付加価値なのだ。

技術者はどうか?
ハンバーガーショップとは明らかに違う。顧客のリクエストを正確に聞くだけでなく、その真意や奥にある価値観や思想、理念なども理解しようとする姿勢が大切だ。そして時には、顧客のリクエストとは異なる代案を提示し、闘う場面も必要となるかもしれない。

ちなみに以下は、ある会社と共同で作った技術系社員の顧客満足レベル表だ。技術者のソリューション問題とも関連しているのでご紹介しておく。

レベル1.「作業者」
関心の対象は自分の技術や知識である。それが使えない状況が続くと、ストレスがたまり、顧客や会社の悪口を言い始める。仕 事で良い結果が出なかったときにも、自分を省みず周囲を非難する。

レベル2.「しもべ」
聞かれたことに忠実に答える、言われたことを正確に実行するという意味で、ハンバーガーショップのアルバイターレベル。技 術の確かさを証明するのが喜びであって、顧客の要望する結果が出たかどうかは顧客側の問題だと思っている。

レベル3.「コミュニケーター」

関心の対象は“顧客”とその成功である。“顧客の期待”を明確に知ろうと会話する。顧客の要求仕様にマッチしたサービスを提供 しようとする。顧客の満足度や評価が気になる。

レベル4.「伝道師」
自分のことはどうでも良い。顧客が成功するためであれば、いかなる対応もしてみせる。時には、顧客の要望をやんわりと拒否 したり、代案を提出したりして、アイデアを練り上げる段階から献身的になれる。いつでも連絡可能な体制をとり、直接は関係 のない分野でも顧客の問題解決に協力しようとする姿勢がある。

あなたの会社が求めるソリューションレベルはどれか?
また、あなたが今、どのレベルにいるのかを自己評価、他人評価してみよう。