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続・白書を読む

●昨日は中小企業白書の最新データをご紹介した。軽くおさらいしてみよう。

・中小企業の数は419.8万社(2006年)
・日本の企業の99.7%が中小企業
・中小企業で働く人は2,784万人で、全従業者の約70%にあたる

・労働生産性(社員一人あたりの年間粗利益)は中小企業525万円(大企業910万円)とかなり低い。

・資本装備率(社員一人あたりの固定資産)も中小企業699万円(大企業1,729万円)と相当低い。

・売上高経常利益率は中小企業1.8%(大企業3.2%)と低収益にあえいでいる。

※参考:図解要説 中小企業白書を読む(平成23年度対応版、同友館)
⇒ http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=3091

というところまでご紹介した。今日はその続き。

●自己資本比率(財務の健全性をあらわす指標)

中小企業27.8%、大企業40.9%
大企業の平均値を上回る中小企業が33.6%ある。

私はこの数字を見たとき、「意外に健闘しているな」と感じた。27.8%は決して誇れる数字ではないもののそれほどひどくもない。そこで、この数字の推移をさかのぼって調べたところ、近年これがぐいぐい上昇していることがわかった。1998年には 9.5%しかなかったものが、財務を強くしたいという経営者の意思によって安易な借入に走るのを遠ざけたのだろう。

逆からみると、借金してでも事業投資したほうが儲かった時代は終わって、中小企業者のマインドが守りに入ったと読むこともできる。
理由のいかんはさておき、この数字を 30%、40%、50%と上げていくことは好ましい。そのためにすべきことは、

・借金をしない(返す)
・毎期利益を出す
・増資する
の三つである。

●次に中小企業が今、どのような問題や課題に直面しているのか。
経営者の回答は次のとおり。

1位:景気低迷、円高、デフレなどによる売上の減少
製造業74.2%、非製造業59.6%
2位:国内需要の減少
製造業64.1%、非製造業40.5%

その他、上位にきている経営課題は次のことがら。

・原油・原材料高騰による費用の増加
・グローバル化の進展による競争の激化
・消費者ニーズの多様化
・人材確保の困難化

●「今後わが社が取り組むこと」としてあげたものは次の3項目に集中している。

1.新規需要の掘り起こし
2.既存事業の高付加価値化
3.新事業の展開

この3つにすこし離されて、
4.研究開発、技術開発
5.多様な人材の活用
が続く。

●白書のデータはまだまだたくさんあっていずれも興味深い。大型書店には必ず置いてあると思うので、是非手にとっていただきたい。

今日はここまで。