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栄養・休養・読書を疑う

●10年前は所有していなかったものに、ノートパソコンと iPhone がある。当然、その当時のライフスタイルは今とは全然違うものだった。

メルマガを創刊した2000年のころ、仕事で東京に行くときなどは、わざわざ読者に断って休刊していた。銀座のキンコーズに行ってパソコンを借り、そこでメルマガを書いたことも何度かあった。

●今となってはノートパソコンと iPhone がない生活など考えられないが、当時は、仕事はオフィスでするものだった。外では人に会う。
移動中や休憩中、あるいは帰宅後の時間などは決まって本を読むもの。
それが常識だったので、自然に本は年間数十冊は読めていたと思う。

●だが、ノートパソコンと iPhone を手にした私は移動中も休憩中もそれらを使うようになった。
いつでもどこでも仕事ができる環境が整ったことはこの上なく喜ばしいが、由々しき問題は読書時間が大きく奪われたことである。

●読書不足は明らかに人の成長を阻み、人生の味わいを削ぐものである。だが自覚症状がなかなか出ないので、そのことに気づきにくい。

「最近、どうも変だ」と思ったら、年齢のせいにするのではなく栄養の偏りと睡眠の不足と読書の不足を疑ってみたらどうだろう。
きっとどれかに該当するはずだ。

●「年間に○○冊の本を読む」という目標を発表する人が少なくない。
大いに結構なことだが、そういういう人に私はこんな質問をする。

・どんな本を読むのですか?
・いつ読みますか?
・一日あたり何分?または何ページ読みますか?
・どのように読書記録を付けますか?

案外、それらに即答できる人は少ない。つまり彼らは目標ではなく、抱負を語っているに過ぎないのだ。目標とは行動計画が付きものであり、行動計画を作ればおのずと上記の質問に答えられるはずだからである。

●例をあげよう。仮に一年で100冊の本を読むとする。

100冊の内訳は次のように決めた。

・経営・ビジネス関係・・・40冊
・ノンフィクション・・・15冊
・古典歴史関係・・・15冊
・修養・自己啓発・・・・・10冊
・宗教哲学関係・・・10冊
・娯楽・小説・他・・・・10冊

●次に読書時間を見積もる。

本によってページ数や難易度が大きく異なるが、おおむね一冊あたりに費やす時間を 3時間と見積もった。すると100冊読むためには300時間が必要となる。日曜日はお休みするならば、年間 300日読む。つまり、一日一時間の読書時間を確保することが求められるわけだ。

●次に、いつどこでその一時間を確保するかを考えよう。

たとえば、朝の出社前に30分確保することに決めた。残りの30分は、ランチ休憩のときにする。あとは、一ヶ月間読書記録を付けてみればよい。

iPhone アプリの『Timenote』などを使えば簡単に読書時間を計測できる。読んだ本の記録も iPhoneアプリで行うことができる。
私は To-Do 管理の『Nozbe』を使って、「読みたい本」「読んだ本」というプロジェクトをつくり、そこに本のタイトルと読書記録や読書メモを入れている。

●その他に、週末のまとめ読みか集中読書合宿なども行って補足する。
それでも足りない場合は読書会に参加するか、自らがその主催者になってしまえば良い。
また、「オトバンク」などを利用して ”耳で聴く” 読書も検討すべきかもしれない。

●このように、あらゆる手段を講じて読書量を真剣に確保しよう。
これはあなたを守るサバイバルスキルだ。放電ばかりして読書による充電が足りていない人は、会って数分もしたらすぐ分かるものだ。

読書の中味、つまり質については量を確保したあと考えればよい。