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幹部が理念を語れない

●「うちの会社で理念が語れるのは社長一人だけです。残念ながら専務も常務も本部長もマネージャーも、だれも理念の話題をしてくれません」と語るのはR君(28歳)。

●彼は、父が経営する大手居酒屋チェーンに今年入社したばかり。
以前に勤めていたのは海外でも成功している回転寿司チェーンで、いつも理念を聞かされて育ってきた。社長だけでなく他の役員も中堅幹部も店長も皆、熱っぽく理念を語ってくれたという。だから仕事に対する誇りや、やり甲斐をもつことができた。ハードワークもまったくいとわなかった。それに比べると我社はまだまだ、と言いたげである。

●私は、「なるほど、するどい指摘だね」と言いながら、R 君のセンスの良さに驚いた。まだ若いのに、そうしたことに気づくだけでも立派である。よほど良い会社だったのだろう。

●もうひとつ気づいたことがある。それは、「理念が語れる人が一人いるだけでも、この居酒屋チェーンのように大きくなれるのだ」ということ。まだ “地方区”の会社だが、この居酒屋も地元では立派な会社と見られている。

●もし、理念の”語り部” が社長一人ではなく複数いたら全国区の会社になる。さらに、各現場にも”語り部”がいたら、海外進出しても成功する会社になるということか。

●あなたの会社では、理念がどの程度語られているだろうか。
社長がいない会議やミーティングで経営理念の話題がどれだけ語られているかが重要だ。

●社長一人が熱く理念を語っているだけでは社内にそれが浸透しない。

他の役員や、幹部に理念を語ってもらおう。
そのためには、そうした機会をたくさん作る必要がある。今までのように聞き役ではなく、”語り部”になってもらうためのトレーニングを開始しよう。

●新入社員や若手社員の勉強会を開き、「経営理念」の講師役を他の役員や幹部にやってもらおう。社長は出来て当たり前なので、あえてやらずに部下にそれを経験させようではないか。

●部下が理念を語れない、という状態を脱却しよう。そのために必要なら、現場に武器を提供するのだ。つまり、現場で説明するときに使うテキストや冊子などの媒体があれば語りやすくなるはずだ。

●この居酒屋チェーンでは R君の意見が父親である社長の耳に届いたようだ。
さすが社長は理念の人。対応策が機敏だった。さてどんな手を打ったと思われるだろう。

<明日は祝日休刊ですので、明後日に続きます>