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続・幸福のバケツ

●今朝の新聞の社会面を見てほしい。
ざっと全体を見まわして明るい話題と暗い話題とどちらが多いだろうか?
「一目瞭然」とはこのことで、パッと見ただけでも暗い話題が多いと分かるはずだ。

●昨日、『心のなかの幸福のバケツ』という本をご紹介した。
無気力人間をつくりだすことは非常に簡単で、次の四つのことを意識的に行えばよい、とあった。

・密告する   (他人の落ち度をみつけて告げ口する)
・自己批判する (自分のダメなところだけを公表する)
・仲間や会社の悪い点を見る (だからうちはダメなんだと思う)
・督促状や苦情メールばかりを見る (私は人並み以下の人間なので
は、と考える)

それらのことを国全体でやっているようにみえるのが今の我が国であるまいか。
しかもあえてご丁寧に、それが「我が国」だけにとどまらない。
「我が社」でも「我が町」でも「我が学校」でも「我が家」でもそれをくり返す。とどめは、個人的にもそれをくり返している。

●2008年、ルーマニア議会ではマスコミ報道のあり方について新しい法案を作り、大統領もそれを承認した。

ルーマニアでは、毎日あまりに暗いニュースばかりなので、せめて明るいニュースも交えて半々にするように、という法律だった。

ところが、パリを拠点とする国際メディア監視組織『国境なき記者団』(Reporters Without Borders、RSF)がこれを非難した。

「同様のメディア規正法があるのは、中国や北朝鮮くらいで、EU加盟国の法律として受け入れがたい」というのが理由だった。

★関連ブログ「後日乗」→ http://hhashiguchi.jugem.jp/?eid=937

●結局「報道の自由」を侵害するとし、「違憲」扱いで廃案になった。

はたして「言論統制」がルーマニア議会の真意だっただろうか。今となってはそれを知るよしもないが、健全な国民ならびに青少年の育成という観点から報道のあるべき姿を別の視点で議論してほしかった。

いつでもどこでも無制限に事件や事故の情報をたれ流してよいのか?
という議論である。映画にも「15R」「18R」があるように、ニュースにもそうした視点が必要だと思う。

●今朝、「目ざましテレビ」を見ながら朝の準備をしていたら、突如、凄惨な事件の報道がはじまった。あわててリモコンをさがし、チャンネルを変えた。もし無防備にそのまま見つづけていたら心のバケツに一杯貯まっていた水がずいぶん奪われてしまうだろう。

●一日は86,400秒ある。その内3分の1は眠っているので、起きている時間は57,600秒。

『心のなかの幸福のバケツ』によれば、私たちは一日二万回の「瞬間」を経験しているそうだ。それは、心のバケツの水が増える(明るい気分になれる)瞬間なのか、減る(暗くなる)瞬間なのかのいずれかだという。よくもわるくもない瞬間というのは、そもそも瞬間を自覚することもないのだろう。

●私たちが何も意識せずに生活すると、二万回も感じる「瞬間」の多くでバケツの水が奪われていく。一日が終わるころにはすっかりからっぽになっている可能性がある。

●そこで、自分一人でも出来る心のバケツの水を増やすための方法を知っておこう。

それには、「5対1」の比率がもっとも効果的だと同著。ネガ一回につき、ポジ五回が必要だという。

●理想はバケツがいつも水で満タンになっていること。あふれ出ているぐらいが望ましい。そのためには、周囲のどこをみてもバケツの水が増えるような状況、環境にしていこうというわけだ。

●そこで同著が具体的に説く「ポジティブになるための五ヵ条」とは次の五つ。

1.バケツの水をくみ出すのをやめる
2.人のよいところに注目する
3.親友をつくる
4.思いがけない贈り物をする
5.相手の身になる

なるほど、という結論である。
異論はまったくないが、少々掘り下げが足りない気がする。しかし、読み物としては十分楽しめる一冊といえよう。

●もう一度、あなたの一ヶ月のスケジュールをみてみよう。
家族やスタッフの誕生日や記念日がどれだけ入っているだろう。そこにはどのようなサプライズ企画やナイスなプレゼントが用意されているだろう。

●周囲に笑顔や感動を創造していくために、あなた自身がそれらのイベントプロデューサーになればよい。いまから年末にむけてできることは何だろう。

仏教では「六波羅蜜」ということばでバケツの水の増やし方を教えた。

「布施」・・・人に施しをすること。金品や知識、知恵、笑顔なども布施の対象になる。
「持戒」・・・戒律を守って規則正しい生活を送ること。
「忍辱」・・・耐え忍ぶこと。怒りの感情を捨てて穏やかに生きること(慈悲)。
「精進」・・・特定の目的にむかって努力を続けること。
「禅定」・・・特定の対象に心を集中して、散乱する心を安定させること。
「智慧」・・・物事をありのままに観察する「観」を養い、思考に依らない、本源的な智慧を発現させること。

こういうことをしていけば、いつでもどこでも「ポジ」をバケツにほうり込むことができる。

●心にはバケツがあり、そこにやる気という水がたまっている。
ひしゃくによって水を外にくみ出したり、相手のバケツから奪ったりせず、相手のバケツに水を注いであげればこちらもバケツも増えていく。そんなメッセージはこの本ならではの視点だろう。

★『心の中の幸福のバケツ』
→ http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=3022