★テーマ別★

続・会議下手を克服したい

●昨日の続き。

影響力のある人が悪い手本を示すと、それはすぐ真似される。せっかくいい雰囲気で始まった「経営改革委員会」の定例会議で、ある日、営業部長が計画書を作ってこなかった。
もっともらしい言い訳があったにせよ、お咎めなしで会議が進行した。
それだけでは済まない。次の会議に営業部長は体調不良を理由に休んでしまった。

●折りしもその日は別の幹部も”急用のため”1時間半ほど遅れて会議に参加した。
定刻に始まって定刻に終わる。だが、空席が目立つ会議に求心力は乏しい。なし崩し的に会議の統制がみだれ、「経営改革委員会」の活動は空虚なものになっていった。

●そんなある日、上脇専務はがんばれ社長!が主催する経営講座を受講した。その日のテーマは「内部管理体制を充実させよう」で、会議のやり方にも話題が及んだ。講師の武沢は次のようなことを訴えていた。

—————————————————————-
会議上手になろうとするまえに、まずは普通の会議が普通に行われる状態を目指しましょう。仮にそのテーマに2~3年かかったとしても普通の会議ができる会社はきっと業界のトップ10%入りを果たすことでしょう。それほど「会議」運営は大切なテーマです。
—————————————————————-

●そこで武沢が説いた「普通の会議」を行うためのポイントは次の通り。

(1)出席予定者が勢揃いし、定刻に会議をはじめ、定刻に終わる
(2) 携帯電話の電源をオフにする。パソコンでのメールチェックやノートへの落書きなど、「内職」行為を禁止する。
(3)司会者は会議の冒頭に今日の目的と議題を確認する
(4)必要があれば、参加者は事前に会議資料を配布する
(5)ホワイトボードに議題や出された意見を書いて議論を記録する
(6)進行役は発言者が偏らないよう、全体の発言バランスをとる
(7)会議に熱が帯びると進行役不在で議論が始まることがある。そうならないよう、要所要所で進行役はイニシアティブをとる。
また一回あたりの発言時間が長くならないよう、要点を絞って発言させる。
(8)長時間の会議の場合は、必要に応じてトイレ休憩を入れ気分を変える
(9)出席者に何かの「宿題」が出された場合は、その作業内容や、やり方、納期を確認する
(10)今日の会議の結論と今後の行動計画を確認して会議を終わる

●上脇は質問した。

「武沢さん、幹部が宿題をやってこなかった時はどうすればよいのですか」

すると武沢は間髪入れずにこう即答した。

「その瞬間にデスクに戻って宿題をやらせて下さい。それから会議を再開するのです。決して次の会議まで一週間とか二週間とか後送りさせるのを許してはいけません。これは、よりよい企業文化を作るための格闘の場面なのですから」

●上脇専務はさらに聞いた。

「武沢さん、”資料作りが忙しくて日常業務がおろそかになってもいいのですか?”と部下に迫られたらどうしますか」

「会議に出すための企画書作成もあなたの重要な日常業務だ!」と答えてください。実際、そうなんですから、と武沢。

とにかく会議のリーダーは発言の進行役なんかではなく、会社を今いるところから次のステージに引っ張り上げるのが役目である。社内に波風を立てることに臆病であってはならないのだ。